ペーパーマリオオリガミキング

「え、一年?」
『そうです、あの事件から一年が経ったらしいっす。つまり、オリガミ祭りからも一年が経とうとしてるってことですね』
「そう、だね……」
『師匠含め、キノピオたちにとっちゃ悲惨な事件でしたからね。暗い気持ちになるのも無理はないでしょう』
「……」
『……まだあいつのこと気にしてるんすか?』
「違うよ」
『違わないでしょう。そんな風に顔を青くして』
「してないよ……」
『いったい何が気になってるんすか? あいつは師匠やキノピオたちを攫って、遺跡に監禁して、いいように働かせていたクズですよ?』
「知ってるよ……」
『じゃあ、なんで』
 弟子くんの姿が大きくなる。大きな影になって、大きな大きな、それはまるで、あの人が私にいつも落としていた影のような、黄色い、明るくて、ぎらぎらした、



「…………」
 目が覚める。
 外は真っ暗。
 夜なのだ。
 事件解決から一周年を目前にした仕事の依頼が来ているので、最近はその準備に追われている。
 忙しければ思い出すこともない、と思っていたのに。
「……さん」
 馬鹿は私で、一番馬鹿なのが私だ。
 夢の中で弟子くんが言った通り、あの人は私や皆を攫って監禁していいように働かせていたクズ。その通り。反論の余地もない。
 けれど。
 暗闇の中、目を伏せる。
 あの人は確かに輝いていた。一番輝いていた。いつだってフロアの中央で。
 あの姿に、目を奪われた。
 一年が経とうとしていても、それは奪われたまま。
 いつになったら穴は埋まってくれるのだろう。いつになったら思い出さなくて済むようになるのだろう。
 いつになったら、あの人は……
 いや。
 そんなことを考えながらも、きっといつかは薄れて忘れていくんだろう。
 それが少し、……
 違う。
 とてもとても、悲しかった。

 穴は埋まらず。
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