後日談、の後日談

「あ」
「何だDJ」
「明けましたね」
「明けたか! すげーな明けたと同時に曲終わるってオマエ!」
「いえ。これくらいは誰にでもできますよ」
「おれッチはできねーよ! オマエすごいな!」
「えっえっ」
 パンチさんはそう言うと私を挟んでぐるんぐるんと振り回す。
「すげーDJすげー!」
「あわわわわ」
「おれッチが見込んだだけはあるなー!」
「うわわわわ」
 ぐるんぐるん。
 ぱ、と刃を離すパンチさん。
「おわわわわ」
 すと、とDJブースに着地する。
「ナイススロー! おれッチってばなかなかやるな!」
「さ、さすがパンチさんです、うう、回る」
「回っちゃうかー? もう一周?」
「周回は終わったでしょパンチさん、私たちのループはこれが最終周ですよぉ」
「ああ……得体の知れない何か、はもうないみたいだな。それに」
「それに?」
「次があっても大丈夫だろ、何度でも見つけ出します、って言われちゃな」
「もちろんです。約束、いえ、私がそうしたいから、何度あなたがいなくなっても必ず見つけ出しますから」
「わかってるわかってる。オマエほんと健気だねー。かわいいヤツ」
「かわっ……」
「あー顔赤くなってるおもしれー」
「穴、空けないでくださいよ」
「わかってるって。……今夜はオールナイトフィーバー、続きをシようぜDJ」
「ええ。……それじゃあいくぜ!」





「パンチさん」
「……」
「パンチさん」
「何だ、DJ」
「もう朝ですよ」
「朝ってか、昼だな」
「起きてたんですか」
「ちょっと前からな」
「起きてたなら言ってくださいよ」
「オマエがおれッチのことじっと見てたのも知ってる」
「なっちょっパンチさ」
「ほんと、穴空けたくなるぜオマエには。空けねえけどな」
「はい……」
「でもたぶんこの、穴空けてえ、ってのもおれッチなりの……なんだろうな」
「え?」
「――ってことだよ」
「まだ昼ですよパンチさん」
「おれたちに昼か夜かなんて関係あるか? どんなときでもオールナイトパーティタイムだぜ」
「落ち着いてくださいよぉ」
「落ち着いたおれッチなんておれッチじゃねー。やるぜDJパーティタイム……と言いたいとこだが」
「だが?」
「メシにしようぜ」
「そうですね。そう、年末にオセチとやらを作っておいたんです」
「オセチ?」
「東の方の文化ですね。年の初めの一日目を祝して、色々な意味を込めた料理を食べるとか」
「へえ、面白いじゃん」
「そんな感じでオセチを食べましょう」
「異議なーし」

 そうして二人でオセチを食べたのはいいけれど、横に置いていた日本酒にバチバチと穴を空けまくったパンチさんはいつも通りバイオレンスな感じにテンションを上げ、結構な数甘噛みされて身体にすごい跡がついてしまったので明日はスパーランドかな……と思った私でした。
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