ドレホ

 ――きんいろをいつも夢に見る。それはおれには気付かない。
 ――『……キンス』
 ――呼んでも呼んでも振り返らないそれは、いったいおれの何であったのか?



「ホーキンス」
「……ああ、目が覚めたのか」
「……夢を見ていた」
「……」
「が、思い出せない」
「思い出せないということは大したことがないということだな」
 人形のような顔でそう、言う。
「面白くないのか、ホーキンス」
「そういうわけではない、ただ」
「ただ?」
「貴様、気を取られていたな」
「はは、やはり面白くないんだろう」
「……」
 ホーキンスはむすりと黙り込む。
「まあ、おれが夢を見るとしたら多分お前の夢だから、不安がることはない」
「不安など……」
「おれの夢だぞ。お前しか見ていないに決まっているだろう」
「そうか。……当然だったな」
 考えてみれば、とホーキンス。
「お前がおれを好きなのは当然だった」
「だが、お前もおれが好きだろう?」
「…………」
 人形のような顔のその変化を読み取れるのもまた、あいつの船の奴等と、そしておれだけなんだろう。

 そういう話。
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