嗜虐的な豹と人の心がわからない熊猫
一瞬の驚愕のあと、おれは冷や汗を流しながら何の混線で出たのかわからん映像電伝虫のバグ画面を閉じた。
次の瞬間。
「……ほう」
振り返らなくてもわかる。あの忌々しい上司だ。冬島の氷よりひどいオーラを背後に感じる、確認したくねェ。
「スパンダム」
がし、と掴まれる頭。
「な……なんですか、ダンナ」
ぎぎぎ、と振り返るおれ。
「お前、そんなものに興味があったとはな」
口角だけが上がった笑み。怖すぎんだろ。勘弁しろ。
「ダンナ違いますゥこれは」
必死で笑顔を作ってみるが、上司のオーラは変わらない。
「それがお前の願望か?」
「はァ!?」
「返事はイエスかノーだ。もう一度聞く、それがお前の願望か?」
「……ンなワケないでしょうがァ!!!!!」
涙と鼻水が漏れる、畜生ほんと何なんだコイツマジで死んでくれ。
「ほう?」
ニヤァ、という擬音がつきそうな笑み。嫌な予感がする。
「ダンナ……その笑みは……」
「その夢実現させてやる。かわいい部下のためにな」
「…………」
ふっっっざけんなよ!?
だが抵抗は虚しく、おれのケツは死んだ。
(おわり)
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