魔法少女クレス

「皆のアイドルナスターシャム……? なんだこのチラシは」
「俺じゃねえぜ!」
「知っている、お前はこんなことはしないからな……とすると、アリストロか……?」
「私ではない!」
「うわっどこから現れやがった!」
「魔法少女ナスターシャムのいるところ、アリストロは現れる!」
「うわあ……」
「ナスターシャムは皆のアイドルなどではない! 私のただ一人のアイドルなのだ!」
「なあお前ラスボスじゃなくてただのクレスの厄介オタクなんじゃねえの……?」
「それは別時空のアリストロ! 私は魔法少女ナスターシャムの敵、悪の組織のアリストロ……」
「別時空のアリストロって何だよ」
「そんなことは今は問題ではないのだ!」
「えっ」
「ナスターシャムは! 私の! 私だけの!」
「(スッ)」
「(無言でロッドを…!)」
「ハハハ! 邪魔したな魔法少女ナスターシャム! 私は用があるのでこれで失礼する!」
「(用って…?)」
「このチラシを街から回収し破り捨てるという用がな!」
「うわあ……」
「さらばだナスターシャム! アデュー……」
「なあクレス……あいつやっぱだいぶヤバいんじゃ……」
「ヤバいから悪なんだろう? アリストロはラスボスだからな」
「ああ、そうか……そうだったな………なーんかどっと疲れたぜ。酒でも飲まねえ?」
「魔法少女のマスコットが酒など飲んでいいのか?」
「今日はいいんだよ」
「お前は毎回そう言っているだろう」
「ぎくーっ」
「……フ、仕方ない」
「え!」
 目を輝かせるギル助。
「俺も付き合ってやろう」
「やった! 今夜は飲み明かそうぜ!」
「フフ……」

 魔法少女にも休息は必要。休め、魔法少女クレス!
 その晩の酒の味は二人のみぞ知る。
 おっと、ロマンスか?
 知らん! つづく!
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