その他単発CP

「ファビオ」
「あ、クレスくん……どうしたの?」
「また踊りを見たいと思ってな」
「前言ってた、戦闘の参考にしたいってやつだね? ……じゃあ今回はクレスくんも踊ってみようか」
「なっ」
「ボクがタンバリン叩きながら踊るから、クレスくんはそれに合わせて踊ってみて」
「急だな……俺にできるかどうか」
「クレスくんならできるできる! さ、始めるよ!」
 タンバリンを叩きながら踊り出すファビオ。クレスは見よう見まねで身体を動かす。
 上、下、右、左。身体をねじって足を上げ、宙返り。
「いいね、うまうまい!」
 左、右、左、右、上体を屈めて回す。
「その調子!」
 だんだんリズムが上がって行き、ファビオの動きも激しくなる。
 途中までは見よう見まねだったクレスだが、す、と頭が研ぎ澄まされるような感覚があり、無心で身体を動かし出す。
「いいね、すごくいいよ!」
 ファビオが笑う。
 右回転。
 左回転。
 バックフリップ、そして着地。
「……クレスくん! キミ、サイコーだよ!」
 ファビオが目を輝かせて拍手する。
「すごいキレ! さすが義賊だね! リズムセンスもいい! 才能あるよ! 今度一緒にステージに……あ、そんなことしたらギルデロイが大変なことになるか」
「……フ」
 自分がステージに上がっている姿を見たギルデロイの様子が頭に浮かんでしまい、クレスは思わず笑みを浮かべる。
「『な、な、な……』と言って固まった後に蒼白になりそうだ」
「あはは、そうだね……まあ、旅団内だけでやる分にはよさそうだけど。……そうだ! みんなで踊ってみるのはどう!?」
「いいかもしれないな。戦闘訓練にもなる」
 クレスとファビオの間で謎の企画が持ち上がりそうになっていることを知る者はまだいない。
4/6ページ
スキ