モービダス×ペレディール
春のリバーランド。
川沿いに桜並木。
ペレディールがモービダスを追いかけながら叫んでいる。
「モービダス! ちょこちょこと邪魔をして、今日こそ貴様の年貢の納め時だ!」
「何を言っているのです? これは剣と魔法のファンタジーですよペレディール」
「剣と魔法のファンタジー!? 貴様こそ何を言っている!」
「シャランラ」
次の瞬間、ペレディールの服装が太陽の色のドレスに変わる。
「おお!?」
モービダスは黒を基調とし、要所要所に金色の装飾がついた夜会服に。
「剣と魔法のファンタジーと言ったでしょう」
「こ、これは……ファンタジーじゃないか!」
「そうでしょうそうでしょう」
「貴様がやったのかモービダス!」
「違いますよ、エイプリルフールパワーです」
「エイプリルフールパワーとは何だ」
「そういう力です。死した者が蘇ったり、世界が平和になったり……」
「よくわからんが調べ甲斐のありそうなパワーじゃな」
「あなたはいつも調査のことばかりですねえ。でもまあ……私もそういうのは嫌いではありませんし」
「むむ」
「一曲踊って差し上げましょう」
「何をどうしたらその流れになるんじゃ!?」
「エイプリルパワーですよ」
「説明になってないんじゃが……」
「いいからいいから」
モービダスはペレディールの手を強引に取り、ステップを踏む。
「エイプリルフールぐらい楽しいことがあってもいいでしょう」
「私はいつでも楽しいぞ!」
「ええ、そうでしょうとも」
ペレディールをくるり、と回すモービダス。
「貴様思ったより踊りが上手いな!?」
「あなたもね」
「私は資金集めでパーティに出なければいけなかったので練習したんじゃ」
「涙ぐましい努力ですねえ……うふふ……」
「金のある貴様にはわからん話だな」
「そうでもないですよ。資金集めだけでなくとも、人脈を集めるには私だってパーティに出なければいけませんし? ほら、前に会ったときも……」
「前?」
「あ、あなたは覚えてませんか。残念ですね」
「む……しかしこうして貴様と踊ったことはなかったなモービダス」
「案外素直に受けてくれて私は嬉しかったですよ」
「う、うれし……!?」
何とも言えない顔をするペレディールにモービダスがねえ、と声をかける。
「ペレディール」
「何じゃ」
「そろそろ嘘が終わります」
「何を言ってる?」
「久しぶりに会えてよかったです。よかった、なんて、過去の私には考えられない言い回しですがそれも春の嘘、ということで勘弁していただきたい」
「モービダス、今日の貴様なんだかおかしいぞ」
「おかしいですよ。ねえ、気付きませんでしたか?」
「何がだ」
「私はもうとっくに……」
死んでいるんですよ。
とモービダス。
突風が吹く。桜吹雪がモービダスを隠し、
「さよなら……ペレディール」
大量の花びらに目を瞑ってしまっていたペレディールであったが、ややあって、はっと何かから覚めたかのように周囲を見回す。
「む……? 私は、何を……」
モービダスは消え、ペレディールの服装も元に戻っていた。
「先ほどまで誰かがここにいたような気がするが……この通り私は一人だ……はて」
「おーいじいさん~何してるんだ」
たたた、とギルデロイが駆けてくる。
「おおギルデロイ。私は……桜を見ていたのだ」
「もうみんな集まってるぜ」
「そういえば今日は花見をすると、そういう話になっていたな」
「団長が参加しなきゃ盛り上がらねえ。さあ、来た来た」
「ははは。楽しみだ」
「そうとも」
嘘の夢が終わっても、旅は続く。
川沿いに桜並木。
ペレディールがモービダスを追いかけながら叫んでいる。
「モービダス! ちょこちょこと邪魔をして、今日こそ貴様の年貢の納め時だ!」
「何を言っているのです? これは剣と魔法のファンタジーですよペレディール」
「剣と魔法のファンタジー!? 貴様こそ何を言っている!」
「シャランラ」
次の瞬間、ペレディールの服装が太陽の色のドレスに変わる。
「おお!?」
モービダスは黒を基調とし、要所要所に金色の装飾がついた夜会服に。
「剣と魔法のファンタジーと言ったでしょう」
「こ、これは……ファンタジーじゃないか!」
「そうでしょうそうでしょう」
「貴様がやったのかモービダス!」
「違いますよ、エイプリルフールパワーです」
「エイプリルフールパワーとは何だ」
「そういう力です。死した者が蘇ったり、世界が平和になったり……」
「よくわからんが調べ甲斐のありそうなパワーじゃな」
「あなたはいつも調査のことばかりですねえ。でもまあ……私もそういうのは嫌いではありませんし」
「むむ」
「一曲踊って差し上げましょう」
「何をどうしたらその流れになるんじゃ!?」
「エイプリルパワーですよ」
「説明になってないんじゃが……」
「いいからいいから」
モービダスはペレディールの手を強引に取り、ステップを踏む。
「エイプリルフールぐらい楽しいことがあってもいいでしょう」
「私はいつでも楽しいぞ!」
「ええ、そうでしょうとも」
ペレディールをくるり、と回すモービダス。
「貴様思ったより踊りが上手いな!?」
「あなたもね」
「私は資金集めでパーティに出なければいけなかったので練習したんじゃ」
「涙ぐましい努力ですねえ……うふふ……」
「金のある貴様にはわからん話だな」
「そうでもないですよ。資金集めだけでなくとも、人脈を集めるには私だってパーティに出なければいけませんし? ほら、前に会ったときも……」
「前?」
「あ、あなたは覚えてませんか。残念ですね」
「む……しかしこうして貴様と踊ったことはなかったなモービダス」
「案外素直に受けてくれて私は嬉しかったですよ」
「う、うれし……!?」
何とも言えない顔をするペレディールにモービダスがねえ、と声をかける。
「ペレディール」
「何じゃ」
「そろそろ嘘が終わります」
「何を言ってる?」
「久しぶりに会えてよかったです。よかった、なんて、過去の私には考えられない言い回しですがそれも春の嘘、ということで勘弁していただきたい」
「モービダス、今日の貴様なんだかおかしいぞ」
「おかしいですよ。ねえ、気付きませんでしたか?」
「何がだ」
「私はもうとっくに……」
死んでいるんですよ。
とモービダス。
突風が吹く。桜吹雪がモービダスを隠し、
「さよなら……ペレディール」
大量の花びらに目を瞑ってしまっていたペレディールであったが、ややあって、はっと何かから覚めたかのように周囲を見回す。
「む……? 私は、何を……」
モービダスは消え、ペレディールの服装も元に戻っていた。
「先ほどまで誰かがここにいたような気がするが……この通り私は一人だ……はて」
「おーいじいさん~何してるんだ」
たたた、とギルデロイが駆けてくる。
「おおギルデロイ。私は……桜を見ていたのだ」
「もうみんな集まってるぜ」
「そういえば今日は花見をすると、そういう話になっていたな」
「団長が参加しなきゃ盛り上がらねえ。さあ、来た来た」
「ははは。楽しみだ」
「そうとも」
嘘の夢が終わっても、旅は続く。