その他単発CP
「サイバーデロイ!」
「とは何だ」
「サイバーに強いギルデロイ……つまり、俺のことだぜ!」
「オルステラにPCはなかったはずだが」
「しーっクレス、ここは現パロ……俺はサイバーに強い名うての宝石商! お前はなんかどっかの会社の社長!」
「設定が適当すぎやしないか?」
「うっ」
「そもそもなんでお前が宝石商なのに俺だけ社長なんだ」
「だって……」
「怪盗とかでもいいだろう」
「怪盗だったらなんかの有名警官とかとラブが発生しちゃうかもしれないだろ! そういうのお兄さん許しません」
ぴんぽーんぴんぽーん、と音が鳴る。
「えっ、正解音!?」
「そんなはずがないだろう。客だ」
「えーこんな時に!? 俺がクレスと蜜月タイムしてるこんな時に!?」
「いいから出ろ」
「むー」
ギルデロイが来客画面を確認する。
『やっほー恋人どの、なんかの有名警官のアリストロだよ~』
ブツン、と画面を消すギルデロイ。
「誰だったんだ?」
「宗教の宣伝かな」
ぴろん、と携帯端末が音を立てる。
「こんな時にメッセージ送ってくる奴は誰だよ」
「緊急かもしれん。見ておけ」
「わーってるよ」
通知を確認するギルデロイ。
『アリストロ:恋人くんひどーい!』
「うげ! 『迷惑だからやめろ』……と」
ぴろん、と一瞬で返信が返る。
『アリストロ:恋人くんがこの機に乗じてナスターシャムと蜜月を送ろうとしているのはお見通しだ、このアリストロ容赦せん』
『ナスターシャムじゃなくてクレスだ。今日は一日メッセージ送ってくるんじゃない』
そう送ってしまうとギルデロイはボタン長押しで端末の電源を落とす。
「どうせあの変態だろう」
「わかってるんじゃねえか……」
「こんな時間に俺達の家を訪ねてくる迷惑野郎はあいつぐらいだ、こんな時間にお前にメッセージを送ってくる迷惑野郎もあいつぐらいだ」
「あんな奴のことなんか気にするんじゃねえクレス、俺たちは今日このエイプリルフールに乗じて特別に休みを取って蜜月を……」
「随分とよく喋るな」
「えっ」
「本編で俺を激しく抱いたにも関わらず翌朝照れてへどもどしていた奴と同じ男とは思えん」
「く、クレス……? その話はやめ……」
「自慢の槍なんじゃなかったのか」
「やめてほんとやめて」
ノー、とギルデロイは両手を広げて前に出す。
「今日は甘いひとときを過ごすって決めたんだもん! だからクレスに散々頼んで時間空けてもらったんだもん!」
「その設定いつまで使う気だ?」
「そのツッコミもやめて、ここは平和な現パロだぜ!? マーヴェラス! とか叫ぶ変態はいないし魔術師殺して回ってそうな声のゴツおじもいないし目が死んでる教師と夫婦してそうな声の大富豪もいないんだ」
「マーヴェラスと叫ぶ劇作家とゴツい銀髪の警視総監とスパイス貿易で財を為した大富豪ならいるが」
「一人目全く変わってないんだが!?」
「現パロなんだから三人ともいてもおかしくはないだろう」
「そうだね……いてもおかしくないね……」
しょぼん、という音が似合う肩の落とし方をするギルデロイ。
「で、でも! 今ここにはいないんだぜ!? 俺たちはなんかゴージャスな恋人として二人きりなんだよ!」
「抱けるのか?」
「へ?」
「そのギャグ突入したみたいなノリとテンションでお前は俺を抱けるのか?」
「うっ………」
「どうなんだ、王子様」
「お、おう……じ……って」
「俺の、とつけた方がよかったか」
「えっ何だそれ何……」
「素晴らしい時間にしてくれるんだろう……俺の王子様?」
にや、と笑みを浮かべ、クレスはギルデロイの頬をなぞる。
「ぴゃ……」
「しっかりしろ、現パロまでそんなことでどうする」
「よ、よし……商売人の意地を見せてやるぜ!」
「商売人の意地は見せなくていい、俺はお前自身の意地が見たいんだ、ギル」
「く、クレス…………わかった。お望み通り素晴らしい時間にしてやるぜ、俺の宝物、宝石の花」
「……ふ」
「何だよ」
「その言葉は、好きだ」
「俺も好きだぜ、クレス。大好きだ……」
「……ああ。わかっている」
――そこからは二人の時間。
◆
「……という夢を見たんだ」
「愉快な夢だな」
「真顔で言うのやめて」
「だがお前が言った決め台詞は気に入った」
「ほんと!?」
「しかしその台詞と似た言い回しをどこかで見た気がするのだが」
「あーっ! 今日も星が綺麗だな!」
「今は朝だ。星は出ていないぞ」
「うっ」
「で、どうなんだ」
「追求しないで……これが俺なりの精一杯の愛情表現なの……」
「そうか、それは嬉しいな」
「え」
「どんな言葉であっても、お前が精一杯考えてくれたものならば嬉しい。きっと夢の中の俺にもそれが伝わったのだろう」
「突然真面目なこと言う……」
「二回戦か?」
「そういうのやめてって言ったのに」
「ははは。……さ、朝食を食べたら行くぞ、皆が心配してしまう」
「待った、その声で行くのはまずい」
「うん?」
枯れに枯れた声でクレスは首を傾げる。
「声での連携が取れねえ……のと、あとそれで行ったら昨晩何があったかバレバレじゃねえか!」
「大丈夫だ、そう考えてペレディールに今日は俺は休みにしてもらうよう前々から頼んでおいた」
「え」
「抜かりはないさ」
「見透かされてたのか……」
それは何だか悔しいな、と思うギルデロイ。
しかし同時に見透かされていたことに妙な快感を覚えてしまったのも事実で。
「俺ってマゾだったのかな……」
「今さらか?」
「えっ」
「冗談だ。さっさと食べろ」
「……はいはい。仰せの通りに、俺のレディ?」
「……ふ」
「そこ笑うとこ!?」
旅はまだ続く。
「とは何だ」
「サイバーに強いギルデロイ……つまり、俺のことだぜ!」
「オルステラにPCはなかったはずだが」
「しーっクレス、ここは現パロ……俺はサイバーに強い名うての宝石商! お前はなんかどっかの会社の社長!」
「設定が適当すぎやしないか?」
「うっ」
「そもそもなんでお前が宝石商なのに俺だけ社長なんだ」
「だって……」
「怪盗とかでもいいだろう」
「怪盗だったらなんかの有名警官とかとラブが発生しちゃうかもしれないだろ! そういうのお兄さん許しません」
ぴんぽーんぴんぽーん、と音が鳴る。
「えっ、正解音!?」
「そんなはずがないだろう。客だ」
「えーこんな時に!? 俺がクレスと蜜月タイムしてるこんな時に!?」
「いいから出ろ」
「むー」
ギルデロイが来客画面を確認する。
『やっほー恋人どの、なんかの有名警官のアリストロだよ~』
ブツン、と画面を消すギルデロイ。
「誰だったんだ?」
「宗教の宣伝かな」
ぴろん、と携帯端末が音を立てる。
「こんな時にメッセージ送ってくる奴は誰だよ」
「緊急かもしれん。見ておけ」
「わーってるよ」
通知を確認するギルデロイ。
『アリストロ:恋人くんひどーい!』
「うげ! 『迷惑だからやめろ』……と」
ぴろん、と一瞬で返信が返る。
『アリストロ:恋人くんがこの機に乗じてナスターシャムと蜜月を送ろうとしているのはお見通しだ、このアリストロ容赦せん』
『ナスターシャムじゃなくてクレスだ。今日は一日メッセージ送ってくるんじゃない』
そう送ってしまうとギルデロイはボタン長押しで端末の電源を落とす。
「どうせあの変態だろう」
「わかってるんじゃねえか……」
「こんな時間に俺達の家を訪ねてくる迷惑野郎はあいつぐらいだ、こんな時間にお前にメッセージを送ってくる迷惑野郎もあいつぐらいだ」
「あんな奴のことなんか気にするんじゃねえクレス、俺たちは今日このエイプリルフールに乗じて特別に休みを取って蜜月を……」
「随分とよく喋るな」
「えっ」
「本編で俺を激しく抱いたにも関わらず翌朝照れてへどもどしていた奴と同じ男とは思えん」
「く、クレス……? その話はやめ……」
「自慢の槍なんじゃなかったのか」
「やめてほんとやめて」
ノー、とギルデロイは両手を広げて前に出す。
「今日は甘いひとときを過ごすって決めたんだもん! だからクレスに散々頼んで時間空けてもらったんだもん!」
「その設定いつまで使う気だ?」
「そのツッコミもやめて、ここは平和な現パロだぜ!? マーヴェラス! とか叫ぶ変態はいないし魔術師殺して回ってそうな声のゴツおじもいないし目が死んでる教師と夫婦してそうな声の大富豪もいないんだ」
「マーヴェラスと叫ぶ劇作家とゴツい銀髪の警視総監とスパイス貿易で財を為した大富豪ならいるが」
「一人目全く変わってないんだが!?」
「現パロなんだから三人ともいてもおかしくはないだろう」
「そうだね……いてもおかしくないね……」
しょぼん、という音が似合う肩の落とし方をするギルデロイ。
「で、でも! 今ここにはいないんだぜ!? 俺たちはなんかゴージャスな恋人として二人きりなんだよ!」
「抱けるのか?」
「へ?」
「そのギャグ突入したみたいなノリとテンションでお前は俺を抱けるのか?」
「うっ………」
「どうなんだ、王子様」
「お、おう……じ……って」
「俺の、とつけた方がよかったか」
「えっ何だそれ何……」
「素晴らしい時間にしてくれるんだろう……俺の王子様?」
にや、と笑みを浮かべ、クレスはギルデロイの頬をなぞる。
「ぴゃ……」
「しっかりしろ、現パロまでそんなことでどうする」
「よ、よし……商売人の意地を見せてやるぜ!」
「商売人の意地は見せなくていい、俺はお前自身の意地が見たいんだ、ギル」
「く、クレス…………わかった。お望み通り素晴らしい時間にしてやるぜ、俺の宝物、宝石の花」
「……ふ」
「何だよ」
「その言葉は、好きだ」
「俺も好きだぜ、クレス。大好きだ……」
「……ああ。わかっている」
――そこからは二人の時間。
◆
「……という夢を見たんだ」
「愉快な夢だな」
「真顔で言うのやめて」
「だがお前が言った決め台詞は気に入った」
「ほんと!?」
「しかしその台詞と似た言い回しをどこかで見た気がするのだが」
「あーっ! 今日も星が綺麗だな!」
「今は朝だ。星は出ていないぞ」
「うっ」
「で、どうなんだ」
「追求しないで……これが俺なりの精一杯の愛情表現なの……」
「そうか、それは嬉しいな」
「え」
「どんな言葉であっても、お前が精一杯考えてくれたものならば嬉しい。きっと夢の中の俺にもそれが伝わったのだろう」
「突然真面目なこと言う……」
「二回戦か?」
「そういうのやめてって言ったのに」
「ははは。……さ、朝食を食べたら行くぞ、皆が心配してしまう」
「待った、その声で行くのはまずい」
「うん?」
枯れに枯れた声でクレスは首を傾げる。
「声での連携が取れねえ……のと、あとそれで行ったら昨晩何があったかバレバレじゃねえか!」
「大丈夫だ、そう考えてペレディールに今日は俺は休みにしてもらうよう前々から頼んでおいた」
「え」
「抜かりはないさ」
「見透かされてたのか……」
それは何だか悔しいな、と思うギルデロイ。
しかし同時に見透かされていたことに妙な快感を覚えてしまったのも事実で。
「俺ってマゾだったのかな……」
「今さらか?」
「えっ」
「冗談だ。さっさと食べろ」
「……はいはい。仰せの通りに、俺のレディ?」
「……ふ」
「そこ笑うとこ!?」
旅はまだ続く。