道化めいた虎
「ああ! クレスの初めての男は私だとも!」
「嘘をつくのはやめろアリストロ、貴様一晩中俺を見たり見なかったりしながら『このアリストロ! 自らクレスを抱くのは違う! 違うのだよ!』などと叫びながら一人で床を転がり回っていたじゃないか」
「むむ!」
「むむじゃないが」
「そ、そうなのか」
「ギルデロイも引いているぞ、アリストロ」
「ああ! その目! かかわり合いになりたくない、とでも言うような! さすがクレスの知り合いだ、いい目をしている……!」
「全く嬉しくない褒め言葉をどうもな」
「どういたしまして!」
「皮肉だっての。あと知り合いじゃなくて恋人な」
「恋人!!!!」
アリストロは目をカッと見開き、手を、肩を、唇を震わせる。
「クレスはお前のものなんかじゃねえ。クレスは一人の人間なんだよ」
「一人の人間!!!!!」
「なんださっきからオウムみてえに」
「いやぁ……暁のナスターシャムもいい恋人を持ったものだ」
「何が言いたい」
「その恋人をここで私が殺せばどんな顔をするかぐえっ」
「縛られた状態でよくもそんな口が利けるな」
「ああん」
「ああんじゃねえ! クレス、こいつはいつもこんな感じなのか?」
「俺の前にいるときは違ったが……」
「だって好きな子にはかっこいいとこ見せたいもん!」
「えっキモッ」
「ああ! そのゴミを見るような目! もっとだ! もっとだナスターシャム! もっと私をぐふっ」
「その汚い口を閉じろ、下衆」
「ああ! 恋人くんもその目! もっとぐえっ」
「クレス、こいつの口塞いでいいか?」
「気持ちはわかるがやめておけ、聞きたいことはまだまだたくさんある」
「暁のナスターシャムはお優しいことで。その優しさがあんな事態を招いたとも知らないで」
「……ッ!」
「やめろクレス」
「…………そう、だなギルデロイ」
「アリストロ……本当は名前を呼ぶのも汚らわしいくらいだが、お前はもう帰れ」
「帰っていいんです?」
「監視をつける、そのうちまた呼んでやるから楽しみにしてろ」
「ありがとう、嬉しいよ」
「皮肉だっつってるだろ」
そうしてアリストロはおうちに帰り、シリアスなんだかそうじゃないんだかよくわからないインタビューは終わった。
(おわる)
「嘘をつくのはやめろアリストロ、貴様一晩中俺を見たり見なかったりしながら『このアリストロ! 自らクレスを抱くのは違う! 違うのだよ!』などと叫びながら一人で床を転がり回っていたじゃないか」
「むむ!」
「むむじゃないが」
「そ、そうなのか」
「ギルデロイも引いているぞ、アリストロ」
「ああ! その目! かかわり合いになりたくない、とでも言うような! さすがクレスの知り合いだ、いい目をしている……!」
「全く嬉しくない褒め言葉をどうもな」
「どういたしまして!」
「皮肉だっての。あと知り合いじゃなくて恋人な」
「恋人!!!!」
アリストロは目をカッと見開き、手を、肩を、唇を震わせる。
「クレスはお前のものなんかじゃねえ。クレスは一人の人間なんだよ」
「一人の人間!!!!!」
「なんださっきからオウムみてえに」
「いやぁ……暁のナスターシャムもいい恋人を持ったものだ」
「何が言いたい」
「その恋人をここで私が殺せばどんな顔をするかぐえっ」
「縛られた状態でよくもそんな口が利けるな」
「ああん」
「ああんじゃねえ! クレス、こいつはいつもこんな感じなのか?」
「俺の前にいるときは違ったが……」
「だって好きな子にはかっこいいとこ見せたいもん!」
「えっキモッ」
「ああ! そのゴミを見るような目! もっとだ! もっとだナスターシャム! もっと私をぐふっ」
「その汚い口を閉じろ、下衆」
「ああ! 恋人くんもその目! もっとぐえっ」
「クレス、こいつの口塞いでいいか?」
「気持ちはわかるがやめておけ、聞きたいことはまだまだたくさんある」
「暁のナスターシャムはお優しいことで。その優しさがあんな事態を招いたとも知らないで」
「……ッ!」
「やめろクレス」
「…………そう、だなギルデロイ」
「アリストロ……本当は名前を呼ぶのも汚らわしいくらいだが、お前はもう帰れ」
「帰っていいんです?」
「監視をつける、そのうちまた呼んでやるから楽しみにしてろ」
「ありがとう、嬉しいよ」
「皮肉だっつってるだろ」
そうしてアリストロはおうちに帰り、シリアスなんだかそうじゃないんだかよくわからないインタビューは終わった。
(おわる)
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