ニンジャスレイヤー
「ほれほれほれほれ…」
パーガトリー派閥、地下訓練施設。特殊合金で壁を固められたドージョーで、パーガトリーはカラテミサイルを出し続けていた。
「イヤーッ!」
カラテシャウトと共に放ったのは一段と大きな光弾。壁に炸裂したそれは様々な色の光を飛び散らせた。 黄色、青、薄緑、桃……光はパーガトリーを取り巻くように舞い続ける。
パーガトリーは姿勢を元に戻す。カラテ粒子の放出が止まった。
「カラテにおいて、形は大切なものよな。シャウトしかり、姿勢しかり……勿論、それにはアイサツも含まれる」
誰に聞かせるでもなくそう言いながら、パーガトリーは懐から扇を取り出しゆっくりと広げた。
「日頃からのアイサツはカラテを鍛えることにもつながる。そうよな?メンタリスト=サン」
そう言い終わらないうちに、パーガトリーの背後の空間がゆらりと歪んだ。
「これはシツレイ……ドーモ、パーガトリー=サン。只今帰還いたしました」
姿を現したのはパーガトリー派閥の「死神」、メンタリスト。
「あまりに素晴らしいカラテに見惚れ、アイサツを失念しておりました」
メンタリストの極彩色の瞳が小柄なパーガトリーを覗き込む。
「いやいや、そちらのゲン・ジツもかなりの腕前よ……カラテと組み合わさったゲン・ジツは美しく相手を葬ろう?」
パーガトリーは扇で口元を隠し、何らかの問いを含んだ目でメンタリストを見上げる。
「無論、何の手抜かりもなく……土竜は幻想に惹かれ奈落に落ちたようです。不運にも」
「不運な土竜もいたものよな。それほど幻想が美しかったことだ……おや!」
パーガトリーが驚きの声をあげる。
「黒き水仙とは珍しい!美しい幻想のようだと思わんかね?」
ドージョーの隅に黒い水仙がじかに根を張っていた。メンタリストが嬉しそうに笑う。
「お気に召されるかと思い、複数採って参りました」
メンタリストはムシアナめいて空中から水仙をばらりと取り出した。その色は一様に漆黒であった。花束をまとめ、パーガトリーに手渡す。パーガトリーは微笑んでそれを受け取りながらも、ドージョーの隅から目を離さない。
「茶室にでも飾るとしよう!だが神聖なドージョーに水仙が生えていてはいけないな……?」
「ドージョーは不可侵、真実です。あれは私が片付けましょう」
メンタリストはゆっくりとドージョーの隅まで歩き、水仙に手をかけた。緑色の炎が水仙を包む。そして振り返り、言った。
「私はこれで。お邪魔をいたしました。気にかけることもなくなり、修行に専念されますよう」
メンタリストが去った後、ドージョーの隅の水仙はしばらく燃えていたが、やがて灰になり、崩れて消えた。
パーガトリーは手に持っている花束を見た。
水仙が、黄色に変わっていた。
黄水仙の花言葉:「愛に応えて」
パーガトリー派閥、地下訓練施設。特殊合金で壁を固められたドージョーで、パーガトリーはカラテミサイルを出し続けていた。
「イヤーッ!」
カラテシャウトと共に放ったのは一段と大きな光弾。壁に炸裂したそれは様々な色の光を飛び散らせた。 黄色、青、薄緑、桃……光はパーガトリーを取り巻くように舞い続ける。
パーガトリーは姿勢を元に戻す。カラテ粒子の放出が止まった。
「カラテにおいて、形は大切なものよな。シャウトしかり、姿勢しかり……勿論、それにはアイサツも含まれる」
誰に聞かせるでもなくそう言いながら、パーガトリーは懐から扇を取り出しゆっくりと広げた。
「日頃からのアイサツはカラテを鍛えることにもつながる。そうよな?メンタリスト=サン」
そう言い終わらないうちに、パーガトリーの背後の空間がゆらりと歪んだ。
「これはシツレイ……ドーモ、パーガトリー=サン。只今帰還いたしました」
姿を現したのはパーガトリー派閥の「死神」、メンタリスト。
「あまりに素晴らしいカラテに見惚れ、アイサツを失念しておりました」
メンタリストの極彩色の瞳が小柄なパーガトリーを覗き込む。
「いやいや、そちらのゲン・ジツもかなりの腕前よ……カラテと組み合わさったゲン・ジツは美しく相手を葬ろう?」
パーガトリーは扇で口元を隠し、何らかの問いを含んだ目でメンタリストを見上げる。
「無論、何の手抜かりもなく……土竜は幻想に惹かれ奈落に落ちたようです。不運にも」
「不運な土竜もいたものよな。それほど幻想が美しかったことだ……おや!」
パーガトリーが驚きの声をあげる。
「黒き水仙とは珍しい!美しい幻想のようだと思わんかね?」
ドージョーの隅に黒い水仙がじかに根を張っていた。メンタリストが嬉しそうに笑う。
「お気に召されるかと思い、複数採って参りました」
メンタリストはムシアナめいて空中から水仙をばらりと取り出した。その色は一様に漆黒であった。花束をまとめ、パーガトリーに手渡す。パーガトリーは微笑んでそれを受け取りながらも、ドージョーの隅から目を離さない。
「茶室にでも飾るとしよう!だが神聖なドージョーに水仙が生えていてはいけないな……?」
「ドージョーは不可侵、真実です。あれは私が片付けましょう」
メンタリストはゆっくりとドージョーの隅まで歩き、水仙に手をかけた。緑色の炎が水仙を包む。そして振り返り、言った。
「私はこれで。お邪魔をいたしました。気にかけることもなくなり、修行に専念されますよう」
メンタリストが去った後、ドージョーの隅の水仙はしばらく燃えていたが、やがて灰になり、崩れて消えた。
パーガトリーは手に持っている花束を見た。
水仙が、黄色に変わっていた。
黄水仙の花言葉:「愛に応えて」
1/1ページ