Fate/Zero

「そうですか」
 そう言って、弟子は私をじっと見た。
 ブラウンがかった目は、光なく私を映している。
 綺礼は表情豊かな子ではない。滅多に出ないその表情は、目に出る。なので、私は彼の目を見ることを覚えた。
 今の彼の目は、
 それがあなたの全てですか、あなたの答えはそれだけしかないのですか。
 悲痛。諦観。私は、
「さて。修行に戻ろうか、綺礼」
「はい。ありがとうございます……師よ」
 後悔する日は……きっと、来ないのだ。


(了)
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