一つ一つ重ねたカミは
「なーDJ」
「な、なんですか」
「オマエってわかりやすいよな」
「えっ」
「何考えてるか筒抜けなんだよなー。紙ッペラってみんなこうなの?」
「え、みんなこう、なのかはわかりませんけど。でも」
「まあ他の紙ッペラはビビってばっかでつまんねーけどな」
私もビビってますけど? と思ったが、言わない。
「何考えてるかすぐわかるの便利だよなー」
何が便利なのかは訊かない。怖いから。
「なーDJ、何か言えよ」
「さ、サングラスかけてるのにそんな、わかりやすいですか」
「ヨユーっしょ。バチバチに伝わってくるぜ」
「そうですか……」
「落ち込んでる?」
「いえ……」
「サングラスはカッコつけるためにつけてんだろ?」
「カッコつけるって……ファッションです」
「ハハ」
「に、似合ってますか?」
私は何を聞いているんだろう。
「ま、DJらしいわな」
「そ、そうですか」
「イカしてると思うぜ」
「本当ですか!?」
思わず食い気味に反応してしまう。
「ホントホント」
「ありがとうございます……」
あれ、私はどうしてこんなに心揺らしているのだろう。
……最近こんなことが増えた。
パンチさんが私に何か言うたび大きく心が揺れる。
だんだんおかしくなっているのかもしれない。
という問いだって何度も繰り返したと思う。
いつまで経っても慣れない、心を揺らす、揺らしてしまう。
冷静であれ、そうでなければ生き残れない、なんて思っているのに、あの人の一挙一動に大きく心が左右されて落ち着かない、落ち着けない。
冷静であれ、そうでなければ――
「何考えてんの?」
「え、わかるんじゃないんですか」
「わかるぜ。でも聞く」
「な、なんでですか」
「そっちの方が面白いじゃん」
「聞いてどうするんですか……」
「どうもしねーよ」
「じゃあ聞かないでくださ、」
バチン!
「ヒェッ」
「ハハハ」
「やめてくださいよ……」
「オマエいっつも避けるんだもんなー。そんなに穴空けられたくない?」
「空けられたくないですよ普通は!」
「ちぇー」
ちぇーとか言いながらもパンチさんはどこか楽しそうで。
「パンチさんも大概わかりやすい方ですよね」
「なんて?」
「な、なんでもありません」
「ハハハ」
けらけら笑うパンチさんを見て、私は息を吐いた。
意味は知らない、知らなくていい、そう思うことをいつまで続けられるのか。
そんな思考はもはや意味を為さないのかもしれないけれど、もはやそれが私の精一杯の意地だった。
「な、なんですか」
「オマエってわかりやすいよな」
「えっ」
「何考えてるか筒抜けなんだよなー。紙ッペラってみんなこうなの?」
「え、みんなこう、なのかはわかりませんけど。でも」
「まあ他の紙ッペラはビビってばっかでつまんねーけどな」
私もビビってますけど? と思ったが、言わない。
「何考えてるかすぐわかるの便利だよなー」
何が便利なのかは訊かない。怖いから。
「なーDJ、何か言えよ」
「さ、サングラスかけてるのにそんな、わかりやすいですか」
「ヨユーっしょ。バチバチに伝わってくるぜ」
「そうですか……」
「落ち込んでる?」
「いえ……」
「サングラスはカッコつけるためにつけてんだろ?」
「カッコつけるって……ファッションです」
「ハハ」
「に、似合ってますか?」
私は何を聞いているんだろう。
「ま、DJらしいわな」
「そ、そうですか」
「イカしてると思うぜ」
「本当ですか!?」
思わず食い気味に反応してしまう。
「ホントホント」
「ありがとうございます……」
あれ、私はどうしてこんなに心揺らしているのだろう。
……最近こんなことが増えた。
パンチさんが私に何か言うたび大きく心が揺れる。
だんだんおかしくなっているのかもしれない。
という問いだって何度も繰り返したと思う。
いつまで経っても慣れない、心を揺らす、揺らしてしまう。
冷静であれ、そうでなければ生き残れない、なんて思っているのに、あの人の一挙一動に大きく心が左右されて落ち着かない、落ち着けない。
冷静であれ、そうでなければ――
「何考えてんの?」
「え、わかるんじゃないんですか」
「わかるぜ。でも聞く」
「な、なんでですか」
「そっちの方が面白いじゃん」
「聞いてどうするんですか……」
「どうもしねーよ」
「じゃあ聞かないでくださ、」
バチン!
「ヒェッ」
「ハハハ」
「やめてくださいよ……」
「オマエいっつも避けるんだもんなー。そんなに穴空けられたくない?」
「空けられたくないですよ普通は!」
「ちぇー」
ちぇーとか言いながらもパンチさんはどこか楽しそうで。
「パンチさんも大概わかりやすい方ですよね」
「なんて?」
「な、なんでもありません」
「ハハハ」
けらけら笑うパンチさんを見て、私は息を吐いた。
意味は知らない、知らなくていい、そう思うことをいつまで続けられるのか。
そんな思考はもはや意味を為さないのかもしれないけれど、もはやそれが私の精一杯の意地だった。