一つ一つ重ねたカミは
「パンチさん!」
「何だよ急に」
「海行きませんか!」
「は?」
その時は正直、頭湧いてんのか? と思った。
けど次の瞬間、
「――」
高音のシンセ、走るリズム。
ライトアップは水色、青。
「……へえ、こういう趣向ね」
好みのノリじゃねえけどたまにはこういうのも悪くない。
フロアの中央に躍り出て跳ね上がって一回転、これ何ていうの? バタフライツイスト? 技名とかよく知らねえ、ノリで踊ってるだけだし。
それでプレイは盛り上がる。いいね、ノってるじゃんDJ。
穴、空けたくなるけど空ける相手は残ってねえ。
そこでDJやってる奴以外には。
空けたい。けど我慢だ。
カチ、と空打ち、発散。
久しぶりによくノった。
◆
「……どうでしたかパンチさん」
「すっ……げーよかった!」
「お、おお……! それは、よかっ」
バチン!
「ヒェッ」
「ハハハ」
「やめてくださいよぉ……」
今のは空打ち。このくらいなら避けるってわかってるからな。
「海、行けましたか?」
「いやおれッチ海別に好きじゃねーし」
「えっ」
「おれッチ海から来たから」
「えっ……」
そうか、そうでしたか、とぶつぶつ呟き出すDJ。
「でもな」
「……」
「それでもよかったぜ」
「そう、ですか」
よかった、よかった、とDJは繰り返し、
「それは、よかった……」
はーと息を吐く。それを見て、
空けてえ。
カチ、カチ、と刃。
空けてえ、今、この瞬間、すごくこいつに穴を空けてえ。
カチ、カチ。
でも。
「……パンチさん?」
「お前も寝ろよ」
「えっ」
扉を閉める。
海の「音」を呼び起こして回転させて、アガって眠れねえかと思ったが眠りは案外すぐにやってきた。
「何だよ急に」
「海行きませんか!」
「は?」
その時は正直、頭湧いてんのか? と思った。
けど次の瞬間、
「――」
高音のシンセ、走るリズム。
ライトアップは水色、青。
「……へえ、こういう趣向ね」
好みのノリじゃねえけどたまにはこういうのも悪くない。
フロアの中央に躍り出て跳ね上がって一回転、これ何ていうの? バタフライツイスト? 技名とかよく知らねえ、ノリで踊ってるだけだし。
それでプレイは盛り上がる。いいね、ノってるじゃんDJ。
穴、空けたくなるけど空ける相手は残ってねえ。
そこでDJやってる奴以外には。
空けたい。けど我慢だ。
カチ、と空打ち、発散。
久しぶりによくノった。
◆
「……どうでしたかパンチさん」
「すっ……げーよかった!」
「お、おお……! それは、よかっ」
バチン!
「ヒェッ」
「ハハハ」
「やめてくださいよぉ……」
今のは空打ち。このくらいなら避けるってわかってるからな。
「海、行けましたか?」
「いやおれッチ海別に好きじゃねーし」
「えっ」
「おれッチ海から来たから」
「えっ……」
そうか、そうでしたか、とぶつぶつ呟き出すDJ。
「でもな」
「……」
「それでもよかったぜ」
「そう、ですか」
よかった、よかった、とDJは繰り返し、
「それは、よかった……」
はーと息を吐く。それを見て、
空けてえ。
カチ、カチ、と刃。
空けてえ、今、この瞬間、すごくこいつに穴を空けてえ。
カチ、カチ。
でも。
「……パンチさん?」
「お前も寝ろよ」
「えっ」
扉を閉める。
海の「音」を呼び起こして回転させて、アガって眠れねえかと思ったが眠りは案外すぐにやってきた。