一つ一つ重ねたカミは

「受けが満足しないと出られない部屋ァ?」
「そうみたいですね……」
「簡単じゃん!?」
「え」
 バチン!
「はいかんりょー。満足しただろ、DJ?」
 顔に穴を開けられパタパタと手をばたつかせるDJ。鍵は開かない。
「……開かねえ! なんで!?」
 パンチは不満げに身体をぽす、と落とす。
「おれッチの穴あけはどんな紙ッペラでもマンゾクさせる完璧な穴あけだぜ!? それでマンゾクしないってどんだけ!? おいDJ、聞いてんのか! DJ!」
 なおもパタパタと手をばたつかせるDJ。
「喋れねーの不便!」
 ぺ、と欠片を吐き出すパンチ。
「おら取れよ、オマエの欠片!」
 ふらふらとさまようDJ。
「あー見えねえのか。ほら、はめてやるからこっちこい。トクベツってやつ!」
 欠片がDJの顔に嵌まる。
 と、がちゃりと音がした。
「なんで開く!?」
「あ、開いたんですね、よかったです」
「よかったですじゃねーよ今のどこにマンゾク要素あった!?」
「え、え……私もよくわかりません」
「わかんねー奴。ま、出られたからいいか!」
「……そうですね」
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