ペーパーマリオオリガミキング

 ざらざらと飲む。それでやっと眠れる。

 オールナイトじゃない日もオールナイトしてしまうようになってから随分と経った。
 一人きりのオールナイトはちっとも楽しくない。一人きりじゃないオールナイトが楽しかったかと問われると、まあ、別に。私は恐怖を感じていただけだし。いえ、ちょっと嘘つきました。やっぱりあの人は■■だったから。

 一人きりのオールナイトで私は何もできず、ベッドの中でただ震えている。
 ■■がなくなった世界に怯えて震えている。怯えるのは■■に、だったはずなのに、■■がなくなった途端にその不在、世界に空いた穴自体に怯えるようになるなんてどういうことだろう。

 キノピオ族は元々臆病の恐がりで、私が世界に怯えてるのだってその性質のうち、だと言い切ることもできるし。
 けれど目を閉じようとすると浮かんでくる輝きの残滓に私は首を振って、首を振って、それでも虚無はそこにあるから恐ろしくて。
 それは本当。
 だから逃げられなかった。穴から。

 人は心配する、私は力なく笑う。全てが終わってしまった世界で何をしようが自由だけれど、私以外のみんなにとっては終わりこそが始まりだった。
 それを「終わり」だと思ってしまっている時点で私はもう「病んで」いて、紙っぺらの太陽が昇っている空はあの■■と違って薄明るくて。
 信じられない、あの人がもういないなんて。
 解放されて嬉しいはずなのに悲しくて悲しくて。
 誰一人それを共有できる相手なんていなくて、だから今夜も一人オールナイトする。
 ざらざらと飲むように言われたそれを戸棚の隅に押し込んで、目を開いて、ただ、闇、闇、
 闇。

 今夜もきっと、朝は来ないのだと。

 ──それで終わり。
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