ペーパーマリオオリガミキング
師匠はいなくなった。口に出すことすらおぞましいあの太陽とやらもいなくなった。結局二人は地獄で幸せってわけだ、反吐が出る。
なんて悪態をついちゃいてもオレはそれを受け入れられてない。ただの強がり。
オレは馬鹿だ。師匠を止められなかった。師匠はあの日、いつものように日差しばかり強くて、照りつける太陽光が無慈悲に砂を射していた、他のヤツらにとってはきっとなんでもない日だったその日に、いなくなった。
原因はわからない。心当たりはありますか、と聞かれて答えることができなくて、誘拐の後遺症で心を病んでしまったのでしょうかね、なんて一般的な所見を述べられてああ、ああ、違うんだ、そうだけど違うんだ。
師匠は後を追ったんだ。
太陽のために。
◆
師匠があいつを好きだったのは嫌でもわかった。
あのサウンドディスク、師匠が決してかけようとしないとある一つのサウンドディスクを見るときの目。
休日に必ず遺跡に通って、何しに行くんですかって聞いても教えてくれなかった、その遺跡にかつて何がいたのか、何が起こったのか。
知っていた、知っていたけど、言えなかった。
踏み込めなかった。
ファンキーなDJみたいな顔をして、決して明かさぬ闇を持っている。師匠のそんなところもオレは好きだった、
好きだった。
そうだ。
オレは師匠が好きだった。
失ってから気付くなんてお笑い草で、やっぱりオレは馬鹿なんだろう。
後を追う? そんなことをするつもりはない。無駄だし。
地獄なんてない、天国もない。ペラペラが死んだら白紙になって、それで終わり。幽霊を見たなんてヤツもいるけどオレはそんなの見たことないし、見たことないものはないのと一緒だ。
それでオレが何を言いたいかって言うと、師匠が死んでいなくなってもオレは何も変われないってことだ。
馬鹿なまま、いや、もっと馬鹿になったかもしれない。胸にできた大きな虚ろを見詰めたままぐるぐる思考を回すだけ。
そんなことしても何にもならないのはわかりきってるのにな。
馬鹿だ。大馬鹿だ。
どうして師匠は死んでしまったのだろう。
どうしてオレではいけなかったのだろう。
理由なんてない。師匠がそうしたかったから、以外には。
結局オレは一番にはなれなかった。
これまでも、これからも。
そうして虚ろを抱いたまま、人生は続いていく。
それは紛れもなく地獄で、けれども師匠を忘れずにいられるということはどこか救いでもあって、そんなことを考えるオレもまた、どうしようもない馬鹿だった。
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