ペーパーマリオオリガミキング

「DJ!」
「な、なんですか」
「今日は楽しかったな?」
「たの……?」
 私は己を見る。
 楽しかった。
 そう。
 今日は。
 ■■があったから。
「……」
 認めると、気付いてしまいそうで。
 私は眉を寄せる。
「なあDJ」
「何、ですか」
「忘れろよ」
「……パンチさん、」
「なんて言うとでも思ったか?」
「!?」
「一生忘れるんじゃねえ。おれッチという太陽を失くした辛さを抱え続けろ、苦しみ続けろ。一人で幸せになるなんておれッチは許してねえ」
「……だから、今日現れたんですか。嘘の日に」
 嘘。
 何が?
「忘れるんじゃねえ。忘れるんじゃ……でも、」
 ビビッドカラーのパンチさんは言葉を切る。
「今日おれッチが出てきたのは別に親切とかお人好しだからとかじゃねえ……忘れさせないため」
「はい」
「だからDJ……幸せになんてなるんじゃねえ」
「はい……」
 視界が滲む、前が見えない。
「なんで泣いてる」
「泣いてません」
「泣いてるじゃねえか」
「泣いて、ません……」
「あーあ、オマエは本当に馬鹿だな。馬鹿すぎて、」
 風が吹く。
 遺跡の中なのに。
 ビビッドカラーが煌めいて、瞬いて、視界が染まって、
「……パンチさん……」
 もう、いなかった。
「私は……忘れませんよ」
 手の甲で目をこする。
「幸せにもなりません」
 サウンドディスクをセットする。
「一生背負って苦しみ続けます……だから、」
 音量を上げる。
「いつか、また……」

 私は嘘を吐きそびれた。

 そんな春の日。
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