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【ゼノベル】まるで夢のようだと思うばかり

2019/03/04 02:42
ゼノメンシス×インベル(男男)
 手を繋ごうか、と伸ばされた手さえ眩しく思ってしまう。

「どうした?」
「いや、別に」

 さあ、と再び、言葉もないまま掌を上に、すくうように伸ばされた手を、掴むことが出来ずためらい、だらりと降ろした手をそこへ向けることも出来ない。

「いい、」

 そのまま横をすり抜けると手を掴まれ、ぎょっとする。

「インベル」

 どうしたのだ、と笑う顔が優し気だ。俺などに向けていいものではないだろうに、しかし、この優しい笑みを今この瞬間だけは自分一人だけのものにしてしまっていいのだと思えるこの、感情の変化は、目の前の雄があっさりとくれたものだった。
 あれほど秘めていた時間、あれほど、戒めてきた感情をゼノメンシスのやつはあっさり過ぎるほど受け止め、あっさりすぎたほどに俺の告げた感情を今もこうして返してくれている。
 いいや、返す、というよりは、こいつから、渡されているようにもおもえる。

「手を繋ごう」
「雛じゃあるまいし」
「いいじゃないか」
「お前は、…王なんだぞ、立場をだな」
「今はお前だけの雄だ、いいだろう?」
「ずるいぞ、」

 優しく握られた手を引き寄せられる。素直に、体を寄せてしまえるのはこいつがあまりにも、受け入れてくれるせいだと、押し付けてしまいたいほどには、自分の中の歓喜を日々自覚してしまう。

「そんな言葉、何処で覚えるんだ」
「インベルを見ていると自然と」
「ばか」

 軽く頬に寄せた唇を、ゼノメンシスが優しく奪っていく。

「ばかな雄で幻滅させたろうか」
「するわけないだろ、昔から、お前だけなのに」

 肩に埋めた額を、そのまま押し付ける。握られた手が少しだけ強く握り直され、優しく抱きしめられる。

「光栄だ」

 優しいこの声を、こうして聴きいれる事が、どれほど夢のようだろう。


◆ ◆ ◆
可愛いカップル描いちゃったー様から
『「おいで」と相手に向かって手を伸ばしている』『ゼノベル』を描きor書きましょう。

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