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怒ったらいいのに

2021/07/29 08:25
ノニン×エデルガルド(男女)CP無しSSS100個書けるかな期間
 デートに行かないの?とロルフ殿に漠然と尋ねられ、ええ、と答える。何か言われるのだろうかと思ったが、「そうなんだ」の一言で終わって拍子抜けしてしまう。彼は何かと俺と彼女の事でちょっかいを……、いや、気にかけてくれているんだろう。それを悪く言うのは良くなかった。
 気にかけてくれていて心配してくれているのだろう。ありがたいことだが、時々返事に困る事も聞くのが考えものだ。

「お忙しい方ですし」
「でも好きな男に誘われたらえるるんだって時間作りそうだけどね」

 その愛称は彼女を指していると聞かずともわかる。もやもやとした気持ちを抱きつつ、そうでしょうか、と曖昧に答える。実兄と年齢が近く、黒い髪と黒い瞳、髪はまだ女性のように長いので助かっているが、ロルフ殿と話してるときはどうも落ち着かない。
 彼自身の気質も不安の要素ではある。

「そんな、ことは、ありますでしょうか……」

 飲みかけの水の入ったグラスを握る。

「聞いてみたらいいじゃん、ノニンって結構臆病なんだなー」

 からから、と何でもないように笑う彼をついじろりと見てしまってから俯く。こういう所が俺は良くない、と思う。

「怒りなよ」

 顎を捉えられて視線を無理に合わされる。ぎょっとして彼を見ると、まだ、穏やかに笑っている。

「失礼な事言うなよって怒っていいんだよノニン、今悪い事したなーみたいなこと考えたでしょ」
「そ、そんなことは、」

 離れた手は彼の手元のグラスに戻っていく。グラスについた水気を指で遊びながら、ロルフ殿は垂れた長い髪を、耳へかける。

「控えめなのは可愛くて好きだけどね、そのままだとえるるん絶対君の事間違って認識するよ」
「ま、ちが、って?」
「うーん……、まあ、優しくて怖がりで紳士的なんだなーって?」

 それでいい、と思っているのに、それのなにがダメなんだろう、と思ってしまう。

「願望もちゃんとあるぞーって示した方が良いんじゃない?」

 そうして、彼女に嫌われたらどうするのだ、と思う。それだけは避けたい。良いように、見ていてほしい。

「か、かってな、こと、」
「そう、俺は勝手にいうから、そうして怒ったほうがいいよ、じゃないと好き勝手言うかもしれない」
「……わざと、怒らせようと、してますか」
「ははは、どうかな、そこまでお節介じゃないよ」

 がんばれー、と力の抜けそうな声をだして、彼は去っていく。わからない人だ、と改めて思うが、少しだけ、自分の内を晒してくれたような気がして、力なく椅子の背もたれに身を預けた。
× × × × × × ×

CP要素はあるけどまあーーCPにちょっかいかけるおっさんなだけなのでなし

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