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【アルレル】午後からは雨が降るでしょう

2021/07/29 08:20
CP雑多SSS100個書けるかな期間
「今日は雨が降ると思うよ、アルセ」

 だから傘を用意して出かけたらいい、とレルタさんが教えてくれたのでその通りにして傘をもった。周りにはこんなに天気がいいのに、と言われたけど、実際午後に入ってから天候は悪くなった。まだ夕方でもないのに厚い雲の所為で薄暗い街を歩きながら傘にあたる雨音が楽しい、と思う。
 レルタさんにお礼を言わなくちゃ、と思って急いで宿へ戻って、レルタさんの部屋に向かう。ノックをするけど雨の音が激しいせいで何か中から声がしたはずなのに聞こえなかった。もう一度ノックをして、微かに聞き取れたどうぞの言葉にそろそろと扉を開けると、脚部の装備を外したレルタさんがいる、いるけど、その足は膝から下がない。
 前に、膝から下は生まれついてないんだとレルタさん自身がいっていたけど、信じていなかったわけじゃないけど、実際に目にして、本当だ、という言葉が浮かんでしまう。

「やあ、どうかしたかい、すまないねこんな格好で」

 服装もインナーだけで、随分、薄着だ、とぎくりとする。レルタさんにはまだ言ってない。言ってないけど、好きな人が無防備だと、俺ってまだそんなに意識されてないんだという悲しさと、どうしようという後ろめたい感情(故意ではないけど覗きをしてしまった、みたいな気持ち)になって目が泳ぐ。

「ああ、きにしないで。少しマッサージしてたんだ。雨だし、外に出ないからね、楽にしてるだけだから」
「そ、でしたか?えと、あの、天気教えてくれてありがとうございます!!お陰で凄く助かりました!!」
「そう、役に立てたなら良かったよ」

 綺麗に結っている髪の毛がたらりと揺れる。レルタさんは上半身をベッドの上で動かして本をとったり、仕舞ったりして忙しそうだ。

「何か、手伝いますか?」
「気持ちだけでいいよ、ありがとう」

 動く身体をつい、眼で追ってしまう。細いんだな、というのはわかってたけど、上着一枚脱ぐだけでもっと細さが目立って、ダメだ、と頭を振る。

「どうかしたのかい」
「よ、用事思い出したので!!失礼しますね!」
「ああ、気を付けてね」

 少し慌てながら廊下へ出て深呼吸をする。雨でよかった。

「(一人で緊張しちゃって、ダメだな、)」

 もう少し、もうちょっと、レルタさんの役に立てるようになるまでは、まだ駄目だぞ、と自分に言い聞かせて部屋に戻った。
× × × × × × ×

まだレルタさんに意識がない(まるでない

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