SSS倉庫

黎明の前、

2021/04/17 05:30
CP無しSSS100個書けるかな期間
 後ろを黙ってついてくる大柄な男の血色は良くない。出血は多量であったのがわかったものの、その割に足取りはしっかりしている。ふらつきもしない。彼が間違いなく、レヴェンデルの者であると確信をし、話しかけ、手負いであったところに救助を申し出て、しぶしぶ了承を得た。

「痛むか?」

 何も答えないまま、ホライゾン・レヴェンデル殿はじろりとこちらを睨むだけだ。長さはあるのだろう髪を後ろで一つにまとめ、一緒にあがっている前髪は数本垂れている。それの所為かは知らないが、鋭い目つきも相まって、なんとも厳ついと思ってしまう。厳ついというより近づきがたい、だろう。

「ここだ、入ってくれ」

 無言のまま周囲を警戒しているらしい彼を見て、己も探る。魔術で気配を探っても見るが何も居ないことはわかった。

「大丈夫だ、何かあっても俺がどうにかしよう」

 眉間に皺を寄せたまま、彼はずるりと体を滑り込ませて室内へ入ってくれる。扉を閉じながら、彼に座るよう促すが、そう簡単には信用してくれないらしい。

「言っただろう、治癒術くらい心得はある。そのまま血を出していたいならそれはそれで俺は構わんが、診せてくれるなら施す」

 暫く考え込んで、それから彼はそっと脇腹にあてていた手を下ろしてくれる。先ほどよりはいいのだろうがそれでも滲んでいる血は普通ならとっくに意識を手放しているだろうに、という量だ。やはりレヴェンデルの者が不死者であるということは確からしい。

「別にこれをしたから、といって恩義を感じろというわけじゃない。怪我を負ったままでは話をしたくても痛みで気が散るだろ」

 じろり、と見下ろす彼を見て、笑ってみせる。血色は相変わらず良くない。

「吾輩を、……引き入れても、何の役にも立たない」
「それは俺が決めることじゃない。貴殿の名を借りたがっている若者が決定することだ」
「なら、何故」
「俺が一番戦えるから、だ。貴殿と会って交渉するリスクを考えた時に、俺が実戦経験が多かっただけのことだからな」

 触れないように掌をかざし、服の上から魔術で傷を探る。本当は脱いでくれれば一番手っ取り早いが、信頼関係もなくそれは厳しいだろう。

「ふむ、これほど出血をして、傷も深ければ痛むだろうに、良く倒れないな」
「倒れることは、赦されていない、」
「そうか、苦労するな、名のある家の出も」

 無言のまま、彼はどこか遠くだけを見ている。

「俺と共に来る気はないか。外部からの侵入に対しては強固とはいえないが、少なくとも、気を張る必要は減る」

 必要としているのは確かだが、それ以上に、放っておけないのだと言ったらこの男はどう考えるだろうか。
× × × × × × ×
捨て猫ホライゾンさんとギゴウ君(例え)
※エンカウント初めてしたときの

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