ホライゾンさんの叔父上と兄上の話するんですけど、いや、じっと考えていたことを文字に書いておくだけなので支離滅裂になるのをご容赦下さいね。

クヴェルさんにとって、ヴェルティカルという人物は「親友」というカテゴリーなわけです。比較的彼は、あの惑星の人らしい感覚なので特別に誰かを愛するってことはないけれど、ヴェルティカルさんに対していうならこれは「特別」な気持ちが存在していると思う。
ただ、愛だとか恋ではなくて、なんだろう、友愛かな。好敵手であり、友人、みたいなものでしょうね。幼いころから切磋琢磨してきた相手でもあります。昔からよく知っている相手でもあります。彼が当主になって苦労してきた姿を見て来たというのも大きい。
クヴェルさんにとってヴェルティカルという人は「レヴェンデル」という家をまとめる当主である以前に自分の合わせ鏡のような男であるはずです。見つめたら見つめ返す。裏と表のような相手のはずです。
触れないが、確かにそこにいる。そういう相手です。冷酷な彼が一番大事にしているのは唯一、同じ冷酷だと言われているヴェルティカルさんでしょう。
ただ、似ているから好ましいのではないんだと思います。複雑な感情があるんでしょうが。同一だとは思ってない。表裏とは例えで言っても本気では思ってない筈。
親友…そうですね、親友なんでしょう、彼にとっては。だから親友の弟を可愛がるんですね。彼が喜ぶからです。悲しいかなクヴェルさんは「愛情をもって接する」ことが正しくできるわけがない人だから「そういう真似をする」んですね。
彼の過激なところは「ヴェルティカルの脚を引っ張る奴らは殺してやる」といったところでしょうね。そのくらいの実力はあります。

そんな親友の苛烈さを知っているから、ヴェルティカルさんは劣等種である弟を彼から徐々に遠ざけたわけですけど。だって知ったら絶対締め上げるもんな。
ヴェルティカルさんは、彼は彼で、叔父上のことは特別な席にいる相手だと思っています。実力差が僅差ですし、自分を殺す男は彼だと思っている節もございますね。ただでは死なないけど。
私はつくづく「変な友情」みたいなものが好きかな、と思います。変っていうか、正しい友達の在り方、というのか世間一般的な友情関係をわからないので、見かける友情関係などから、自分の思い描くそれを「変」というしかないんですが、癒着せず、しかし解くには絡み合い過ぎていて、互いに無遠慮に侵入し合わない、御互いの道を歩きながら時々距離が近づくときもある、みたいなもの好きです。

なので、叔父上と兄上も、御互いの性格を知ったうえで、御互いの関係を崩さない手を常に選んでそうだな、って。ホライゾンさんが劣等種であることを後から知ったら叔父上は絶対怒るんですよね。彼の所為で親友が傷つけられているわけです。まあ、そんな傷でへたれる男ではないという信頼はあっても、それはそれ。これはこれ。甥とはいえ容赦しない攻撃性が出るけど、そこ、わかってるから兄上は遠ざけていったし隠し続けたし騙し続けました。

「吾輩をだましたんだね、酷いよ」
と叔父上が言っても
「そうだ、騙した、怒ったか」
と答えるのだと思います。叔父上も「怒ってるよ」と隠しもしないと思う。
「ヴェルティカル、君はいつから変わったの、あの子のせいだとしたら吾輩は嫉妬するよ」
ときっという。
「君は嫉妬するんだな、知らなかったよ」
みたいなこというんだろうし
「ただ、あの子に手を上げたらお前を殺すしかないからな」
と言われて叔父上はぐぬぐぬしそうです。自分より彼が大事だという親友に歯がゆさを覚えそう。でも、悔しいけど彼がホライゾンという子を可愛がっていたのは事実だし……、もう過ぎた時間だから何も言えないみたいな。それに「自分を殺すしかない」から遠ざけて騙した、という言葉から、「私的な理由から手をかけることをさける為に」騙したのだというのなら、叔父上もそれ以上は追及しないかなあと思ったりする。
弟であるホライゾンという劣等種の命と、友人である自分の命、どちらも切り捨てることをしなかった兄上の決断に文句は、いうかなあ、いっても、それで終わりにしそう。言いたかったからいうけど、君がそうしたかったなら自分は文句を言ってもそれを何かするというのはしない、みたいな。

文句もなんだかいろいろ散々言うけど、「怒ってる」「悔しい」「だましたのは酷い」と素直に感情を前に出すのがヴェルティカルさんが、クヴェルさんを好ましく感じるポイントでもあります。兄上は、自分の我を抑えて生きてきたから素直な彼が一層眩しい奴なんですよね。ホライゾンさんや奥様のヴァルトルーデさんにも言えることだけど、彼の周りは「素直に感情を出す」人が多い気がする。

お前らも光×闇だったかそうか（光にしては叔父上の混濁すごいな）