SSS倉庫

【ホライゾンとファゼット】これからのぼくら

2020/04/04 04:28
CP無し
 忘れられない光がある。柔らかくて、甘くて、ずっとそこにいたいような、そういう、光。ああ、これが日溜まりと、ああこれが、木漏れ日と言うんだ、と、作り物でもそう思った。今までは本の中でしかしらなかったこと。
 初めて見た作られた青い空と太陽は、黒い空しか知らない自分にとって、忘れがたいものになった。これが、青空で、これが太陽なのだ、と目を細めたあの日を思い出す。

「何してんのあんた…」

 ぽつんと零れたような音のほうに顔を向けると、眩しそうにこちらをみる彼がいる。

「日向ぼっこってやつ」
「ヒナタボッコ?」
「太陽光浴びつつお昼寝?お昼寝はしてもしなくてもいいんだけど」
「ああ………」

 まだ小柄な彼が眩しそうに空を見て、

「空、ってああいう…あれが、青い空、って言うんだな」

 そう呟いて、隣に腰かけた。

「本でしか読んだことなかったから」

 ほとんど家から出ない彼が、今日は珍しく庭に出てきた。良い傾向、と思いながら黙って彼の言葉を聞く。

「吾輩もここに来てから初めて見たんだ」
「……そう、なんだ」

 こういう疑似的な空が作れる場所はそう多くない。彼の居た処も、ただただ生活するだけの空間で、空を映す技術も金銭的な余裕もない場所だったので、見たことはないかもしれないという想像はついていた。

「一緒じゃん」
「…そうだねえ、一緒だ」
「……あお、って色んなあおがあるんだな」

 空を見上げる彼の瞳はどことなく、きらりと光っているような気がする。

「そうだね、いつか青い海っていうのも見てみたい」
「…ああ、いいね、俺も見たい」

 シリウス君が大きくなったら、見にいってみようか、なんていったら彼は遠慮するだろうか。

「…三人で、見にいってみたい」

 彼の小さく控えめな言葉に、顔が綻ぶ。

「いいね、行こうよ、吾輩も見てみたい」

 行けたらな、と笑った彼の顔はいくらか、明るい色をしていた。

× × × × × × ×
診断メーカーででたやつ
まさつぐの小説の書き出しは「忘れられない光がある。」です。
レッツトライ!
#not恋愛な書き出しお題 #shindanmaker

コメント

コメントを受け付けていません。