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【ヤルヨル】君が可愛い

2020/04/04 04:26
ヤルヴァ×ヨルク(男男)
 そう言って、彼を見上げたまま笑うと彼はまた泣きそうな顔をして、それから顔を赤くして、此方を見下ろす。困った様なその泣きそうなのを堪えているかのような顔さえかわいい、と思うけどあまりいうとダメだろうか。

「嘘じゃないよ」
「存じています」

 告げるとまっすぐ返ってくる言葉が愛おしい。否定をせず、ただ頷いてくれる。

「ありがとう」
「はい」

 膝に座って、といったのに凄く遠慮されたから、問答無用で抱き上げた。そうしたら、今度は、重いから、と遠慮されて、半端な膝立ちのまま、そろりと手を肩に添えてくれる。負荷をかけたくない、という彼のその気づかいさえ愛おしい。

「ヨルクは俺の事可愛いって思う?」
「……す、こし」

 例えば俺が思っているように、彼も思うところはあるのだろうか、と尋ねてみたけど、少し目を左右に泳がせたまま小さくうなずいた。

「すこしー?」
「と、ても?」

 おずおずと話す彼に笑顔がこぼれる。

「嬉しい」

 彼は言葉を固く閉ざす人だ。零れた言葉の、零した言葉の端を捕まえて、いいんだと宥めてやっと、彼は少しずつそれを零してくれる。それを掌から零さないように注意しながら、彼が胸を痛めることがないように注意しながら、嬉しい、と肯定を繰り返してやっと、このくらいまでなら、零すようになった。
 彼にとってはもしかしたら急激な変化だったかもしれないけど、俺にとっては、やっと言葉がもらえて嬉しい、というのはある。俺の基準だから、やはり彼にとっては、急な変化ではあるのは、申し訳がないけれど。

「もっと可愛い男にならないとだね」
「…かっこいい、人でいいのですが」
「そう?」
「は、い、」

 俯いて、耳まで赤くする彼が、可愛らしい。かっこいい、と思ってくれていることも嬉しくて、彼の頬を包んで目いっぱい、触れるだけのキスを贈る。

「ヨルクはかっこいい俺が好きなんだね、じゃあ」
「いえ……そ、の、」

 そっと、彼の両手が俺の頬を包んで、それから目を伏せる。

「ど、どんな、ヤルヴァ殿でも、…好ましく、想い、ます」

 ちょん、と触れた口づけが酷く幼く、彼らしく、胸がいっぱいになってしまう。きつく抱きしめると、こわごわと背中に腕を回してくれるのだって嬉しい。

「ヨルクもかっこいい」
「そ、そうで、しょうか?」
「うん、好き」

× × × × × × ×
イチャア…\( •̀∀•́ )/

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