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【ノニエル】そう、君の誠実さを信じる私を信じた

2019/12/29 03:21
ノニン×エデルガルド(男女)
 何もしない、何も、と、男が告げ、正しく何事もないまま、同じベッドで眠る事も長くなった、と思った。なにもされない、してこないから安心はあり、眠れるようになったが男は気が付くといつもベッドの隅にいる。広く作られてはいるが、それでも接触しないようにと男に気遣われていることくらいはわかったし、男が誓いを固く護っていることも信頼に足りた。

「(さむ、い)」

 ひやりとした空気で目覚める。冬という概念がこの人工的な空間にもあるらしいと報告は受けていたが、実際のその冷たい空気に小さく身を縮める。縮めて、うっすらと開いた視界に暖かそうな毛布の端が飛び込む。冷えそうだから、と引っ張り出したものだった、と思いながら、やたらに裾が余っていると、そう気が付いて、いつも背後にいるだろう男の方を見てぎょっとする。
 薄い上掛けだけを身に纏って、暖めるための毛布は全てこちらに寄越している。

「ばっ…」

 咄嗟に、男へと毛布を掛け、触れた身体の冷たさに抱き寄せると男の肩がびくりと跳ねて、こちらをゆっくりと見る、その視線とかち合った。

「レ、スラインどの?あ、の」
「貴様はっ、ばっ…、風邪をひくだろうが!」
「ま、ま、って」

 ぐるりと毛布で男を包むと慌てて男が起きあがる。

「レスライン殿の方が、お身体を壊してはっ」
「私のことはいいっ」
「だ、め、です!」

 ぎゅう、と抱き寄せられ、咄嗟に見た男の顔は近い。

「ぁ、す、いま、せんっ、」

 ぐるり、と、男は私の事も毛布で包む。近すぎる距離と、有無を言わさず抱き締められていることにぐるぐると思考が落ち着かない。疚しい意味はない筈、ない筈だが、それでも、酷く恥ずかしい。

「む、胸が、あた、るから、その、だな」
「っ、き、きに、しません、から」
「私が気にするっ、んだ!」

 ぎろり、と睨んだせいか、男は少し委縮する。

「な、なら、せめ、て、後ろから…だきしめ、て、も?」

 背中合わせという選択肢はないのか、と、聞こうとしたが、今日まで、今まで、努めて私に節度のある態度を誓って来た男を、その男に、不用意に触れたのは自分だ、と思考する。少しだけ、少しなら、褒美ではないが、接触くらいは許そう、と小さくうなずく。

「な、なら、よかった、です」

 向かい合って動けずにいた所から、離れ、再び横になってじりじりと男に背中を向けると、少ししてからそろそろと抱きすくめられて背中に男の体温が当たる。胸の下あたりで組まれた手が少しだけ気になりつつ、男の誠実さを信じる自分を、信じた。

「前、寒くは、」
「ない、…大きめの毛布だからな」
「それなら、良かった」

 きゅう、と小さく、力が籠められ、すり、と首に寄せられた熱に目を見開く。

「す、少しだけ、ご、めん、なさい、レスライン殿、お叱りは、あとでいくらでも」

 首筋に、男の顔がうずめられている熱の感覚に、口から何か飛び出そうだった。それでも、男が許可なく進まないことは今日までのことで分かっていて、これ以上は、きっと確かにないのだ、と思う。

「……叱られたくないなら、自分の事を、もっと、気遣え」

 そろりと、握った男の手が酷く冷たい。

「……は、い」

 同じように、そろそろと、握り返された手を、温める為だと言い訳をつけて、きつく握り返した。

◆ ◆ ◆
可愛いカップル描いちゃったー様から
『一緒に毛布にくるまっている』『ノニンとエデルガルド』を描きor書きましょう。

ネタを貯めてかいてるんですがのせたのか、載せてないのか定かでなくってですねえ(´・ω・`)

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