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【ヤルヨル】眠るあなたに、
2019/12/29 03:17ヤルヴァ×ヨルク(男男)
何をしたんだったろう、と、見慣れぬ天井を見て焦る気持ちを殺す。服は着ている。おかしなところはなにもない。あるとしたら彼が、ヤルヴァ殿が、隣で半分ほど着衣を乱して眠っている、というくらい。起こしてしまうかもとそろりと身じろぐが、身の安全をこちらに任せて下さっているからなのか、まるで起きない。意識は浮き上がっていそうではあるが、規則的な呼吸に僅かに上下する体を見て、眠ることを優先されているらしい、と思う。
自分がしたのか、それとも、彼にそういう眠る際の癖があるのかわからないが、寝乱れてしまったシャツのボタンを少しだけ留める。素肌を直視し続けるのは己にとって目に毒で、出来るだけ、なるべく露出を彼がしないようにと釦を止めるが、さすがに一番上まで留めるのは苦しいかもしれない、と、上二つを開けて、手をそろりとシーツの上に降ろす。
いつもつけている耳飾りはなく、小さく耳朶に開いた穴が良く見える。そんな距離を許されていることに胸が苦しくなる。
何もしないから、と笑って抱きしめられたところは記憶にあるが、あとは緊張して、覚えがない。いつ眠ったのかも、何の会話をしていたのかさえわからない。そう、何も、何もしていないから、焦る必要はないが、焦ってしまう。
今、あの、透き通るような青色は閉じられている。さらりとしていそうな髪の毛は寝乱れていて、ただそれだけなのに、背徳感が募ってしまう。
こんなことまでしていいのかと戸惑う自分に、彼は、彼自身がそうしたいからそうして欲しい、と言った。戸惑う自分に、いつも助けのように手を差し出してくれる彼の優しさに甘えてばかりでいいのか、と悩んでしまう。自分の意志を表へ出せないのに、彼はそれを、それを許す。彼がそうしたいから、と、それだけ笑って。私への罪はないと、言われているかのようにさえ思う。
そろりと伸ばした手で、緊張しながら彼の髪へ触れた。皮膚に感じる髪の毛の感触は柔らかで、いけないことを、している気持ちは募るばかりだ。息を殺しながら初めて、触れてみたかった髪を指先だけで梳く。柔らかなまま、流れる感覚に緊張ばかりして、だというのにもっと触れてみたくなる。
彼に赦されたわけではない行為。己で、選んだ行動。こういう事は彼は好きではないかもしれないという恐怖と戦いながら、一度、二度、と、髪を撫でる。美しく、薄氷のような色の、柔らかなこれを、触れてみたいと思いこそすれ、今までずっと、見ているだけだった。
「(美しい)」
敵同士であったなら、きっとこんなところまで注視しないだろう、と思ってしまう。
「……」
する、と彼の後頭部へ掌を添えてみる。彼が、情熱的に求めてくるときにしていたそれを真似してみて、それから、名を呼んでみようか、と思いながら、口を開き、やめる。彼のような優しい音が出せる気がしない。真似をしてどうなるのだろうと、羞恥がこみあげてくる。
ただ、ただ、どんな気持ちになるのかは、少しだけ知りたかった。手を添えて、名を呼ぶのはどんな心地なのかそれだけが知りたかったが、羞恥心に負けた。
「待って、ヨルク」
外そうとした手を彼の声で留められて、震えてしまう。気がつけば青がそこにあって、見透かされたような、そんな気持ちに熱が顔に集まる。
「そのまま、そう、そのまま」
彼の片手が同じように、此方の項を捉え、それから唇の端を吸われる。何度も触れるだけの口づけを受け、それから、彼が笑った。
「おはよう、ヨルク、刺激的な目覚めだね、ふふ」
「お、はよう、ございま、す、すいませ、あの、」
ふふ、と、笑った彼が再び、項をきつくとらえて、顎や頬へ何度も口づけをおとす。
「朝の戯れも好きだよ、君とならずっとしていたい」
秘密の言葉を交わす様な、掠れた細やかな声を聞きながら、じんわりとまた、熱が頭にぐるぐると籠るのを感じた。
◆ ◆ ◆
可愛いカップル描いちゃったー様から
『寝てしまった相手の髪を撫でている』『ヤルヨル』を描きor書きましょう。
センシティブ……(雰囲気が
自分がしたのか、それとも、彼にそういう眠る際の癖があるのかわからないが、寝乱れてしまったシャツのボタンを少しだけ留める。素肌を直視し続けるのは己にとって目に毒で、出来るだけ、なるべく露出を彼がしないようにと釦を止めるが、さすがに一番上まで留めるのは苦しいかもしれない、と、上二つを開けて、手をそろりとシーツの上に降ろす。
いつもつけている耳飾りはなく、小さく耳朶に開いた穴が良く見える。そんな距離を許されていることに胸が苦しくなる。
何もしないから、と笑って抱きしめられたところは記憶にあるが、あとは緊張して、覚えがない。いつ眠ったのかも、何の会話をしていたのかさえわからない。そう、何も、何もしていないから、焦る必要はないが、焦ってしまう。
今、あの、透き通るような青色は閉じられている。さらりとしていそうな髪の毛は寝乱れていて、ただそれだけなのに、背徳感が募ってしまう。
こんなことまでしていいのかと戸惑う自分に、彼は、彼自身がそうしたいからそうして欲しい、と言った。戸惑う自分に、いつも助けのように手を差し出してくれる彼の優しさに甘えてばかりでいいのか、と悩んでしまう。自分の意志を表へ出せないのに、彼はそれを、それを許す。彼がそうしたいから、と、それだけ笑って。私への罪はないと、言われているかのようにさえ思う。
そろりと伸ばした手で、緊張しながら彼の髪へ触れた。皮膚に感じる髪の毛の感触は柔らかで、いけないことを、している気持ちは募るばかりだ。息を殺しながら初めて、触れてみたかった髪を指先だけで梳く。柔らかなまま、流れる感覚に緊張ばかりして、だというのにもっと触れてみたくなる。
彼に赦されたわけではない行為。己で、選んだ行動。こういう事は彼は好きではないかもしれないという恐怖と戦いながら、一度、二度、と、髪を撫でる。美しく、薄氷のような色の、柔らかなこれを、触れてみたいと思いこそすれ、今までずっと、見ているだけだった。
「(美しい)」
敵同士であったなら、きっとこんなところまで注視しないだろう、と思ってしまう。
「……」
する、と彼の後頭部へ掌を添えてみる。彼が、情熱的に求めてくるときにしていたそれを真似してみて、それから、名を呼んでみようか、と思いながら、口を開き、やめる。彼のような優しい音が出せる気がしない。真似をしてどうなるのだろうと、羞恥がこみあげてくる。
ただ、ただ、どんな気持ちになるのかは、少しだけ知りたかった。手を添えて、名を呼ぶのはどんな心地なのかそれだけが知りたかったが、羞恥心に負けた。
「待って、ヨルク」
外そうとした手を彼の声で留められて、震えてしまう。気がつけば青がそこにあって、見透かされたような、そんな気持ちに熱が顔に集まる。
「そのまま、そう、そのまま」
彼の片手が同じように、此方の項を捉え、それから唇の端を吸われる。何度も触れるだけの口づけを受け、それから、彼が笑った。
「おはよう、ヨルク、刺激的な目覚めだね、ふふ」
「お、はよう、ございま、す、すいませ、あの、」
ふふ、と、笑った彼が再び、項をきつくとらえて、顎や頬へ何度も口づけをおとす。
「朝の戯れも好きだよ、君とならずっとしていたい」
秘密の言葉を交わす様な、掠れた細やかな声を聞きながら、じんわりとまた、熱が頭にぐるぐると籠るのを感じた。
◆ ◆ ◆
可愛いカップル描いちゃったー様から
『寝てしまった相手の髪を撫でている』『ヤルヨル』を描きor書きましょう。
センシティブ……(雰囲気が