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【ノニエル】傘を、

2019/12/29 03:11
ノニン×エデルガルド(男女)
「よろしかったら、どうぞ」

 おずおずとそう言われて差し出された傘はまだ真新しいように見えた。

「いいや、それには及ばない」
「風邪を、ひいてしまう、ので」

 どうぞ、と、なおも差し出される傘は無地で、己が使うにしても差支えのないくらい色合いだった。

「やわには、…」

 出来てはいない、と言おうとして口を閉ざす。これを言えば、そういう問題ではない、と切り返しがくることは男とのやりとりではよくあることだった。頑丈だなんだではなく、男が純粋にこちらを案じていること。心配されていることがじわりと頭の隅に沈着した事実に少し眉を顰める。
 外は雨が降り続いていて、止む気配がない。

「これを使うと貴様が外出できなくなるのではないか」

 安いものではないことくらいはわかっている。まだ貴重なこの傘、は、それなりに値段も張ることをしっているが、それをあっさり差し出す男にささやかながら驚きもしている。

「良いんです……、レスライン殿が、濡れるより、良いので」

 だから、と、そろりと再び差し出されたそれを、少し乱雑に受け取る。

「物好きだな」

 ほっとした顔で笑う男が、良いんです、と優しい声で返す。

「物好きでも、なんでも、良いです」

 目を伏せた男は、僅かに目じりを赤くして、それから小さく、嬉しいです、と言葉を零した。

◆ ◆ ◆
可愛いカップル描いちゃったー様から
『相手に傘をかしてあげる』『ノニエル』を描きor書きましょう。

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