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【バニラあんこ】わたしのおひさまのために
2019/11/09 01:38CP無し
「今日も綺麗な髪ね」
「当然です、バニラちゃんはいつもかわいいですから」
そうね、と優しく笑うご主人様の細く頼りない手が頭を撫でる。私をありのまま受け入れて下さる私のご主人様。この身が朽ちるまで仕えようと誓った、私の大切なご主人様。
ご病気がちなご主人様は私をいつも優しく労う。同族にさえ疎まれる私の言葉を、ご主人様はいつも優しく聞いてくださる。
嗚呼、私のご主人様。大好きな私のご主人様。
ご主人様、といっても地位が高いわけではないし、お金もそう多く工面してはもらえない。他にこの家にメイドらしいメイドはいない。私が殆ど、動けないご主人様のために雑務をこなす。
イヌ族のメイドたちが本来やるべきことであろう、ネコ族では行わない雑務を一生懸命こなす。私の大好きなご主人様のために。
誰に何を言われても、私を傷つけようとして差し向けられたその言葉の刃は、砕け散るだけ。そんな言葉はご主人様の下さる温情と愛情に比べれば粗末なこと。あの方から受ける深い愛と信頼とが私の自信を確固たるものとしてくれる。
優しいご主人様…。だから、ご主人様なら、あるいは。あるいは。
「ご主人様、あの、そのぅ」
「まぁ、…どうしたの?貴女がそんな風に聞いてくるなんて」
「も、もし、バニラちゃんがメイドを雇いたいと言ったら、お許しくださいますか?ちゃんとバニラちゃんがお金を払いますし、面倒もバニラちゃんが見ます。ご主人様のお手は煩わせません」
頭に浮かぶのは年上の純粋な友達。イヌ族を友達だなんて言うと変だけど、彼女は、彼女も私を私のまま受け入れてくれる子。
彼女にはあと1年の時間しかない。それを過ぎれば彼女はただのノライヌ。彼女が、アンがノラになることは、耐えられない。
「…ええ、バニラがそうしたいのなら、私は何も」
「あ、ありがとうございます!!」
ああ、ああ、ご主人様!私のご主人様はやっぱり世界で一番お優しい!
急いでアンにも言いに行かなくちゃと逸る気持ちを抑えながら彼女の屋敷にはしたないけれど大股で歩いていく。
「ばにらちゃー」
屋敷に行けば彼女がにこにこと笑顔と、尻尾を嬉しそうに振ってこちらにかけてくるのが見えた。見えたけれどすぐにべしゃりと転んだ。
「ほんと貴女ってドジね!もう!」
「あ、えへへ、ばにらちゃ、ありがとですでしたー」
手を貸して起こせば彼女はやっぱり笑顔で私を見てくれる。
「ふんっ、感謝しなさいよ!貴女がどこにも行けなかったら、教えてあげてるバニラちゃんの沽券にかかわるの!」
「コケー?」
「バニラちゃんの評価にかかわるの!」
「あわ、わ、ごめんなさいでしたです」
「いいのよ、そのときは、バニラちゃんが貴女のご主人様になってあげることにしたから」
ちょっと恥ずかしいけれど、なるべく自然に言えたと思う。
「ほんとー!!」
きらきらと大きな目を輝かせて、彼女が私を見て笑う。零れそうなくらい大きくてきれいな瞳が私を見て、それのどこにも、裏がない。
「ほんとよ、バニラちゃんは、アンに嘘はつかないの。でもそれは最後の最後よ、貴女がちゃんとご主人様を見つけられるならバニラちゃんはそれでいいんですからね」
「うん、うん!」
「首がとれちゃうからそんなにぶんぶん頷かなくていいのよ!!やめにゃさいよ!!」
「ばにらちゃー!!!すきー!あんはばにらちゃ、だいすき!」
「あ、う、ば、バニラちゃんも、好きよ」
抱きしめて来た彼女からは、やっぱり、おひさまの匂いがした。わたしのおひさま。わたしのすてきなお友達。貴女に幸せなご主人様が見つかるように、私も頑張るわ。
× × × × × × ×
リプきたキャラかCPでかくやつでバニラちゃんを頂きました!わーい!ヽ( ´¬`)ノ
「当然です、バニラちゃんはいつもかわいいですから」
そうね、と優しく笑うご主人様の細く頼りない手が頭を撫でる。私をありのまま受け入れて下さる私のご主人様。この身が朽ちるまで仕えようと誓った、私の大切なご主人様。
ご病気がちなご主人様は私をいつも優しく労う。同族にさえ疎まれる私の言葉を、ご主人様はいつも優しく聞いてくださる。
嗚呼、私のご主人様。大好きな私のご主人様。
ご主人様、といっても地位が高いわけではないし、お金もそう多く工面してはもらえない。他にこの家にメイドらしいメイドはいない。私が殆ど、動けないご主人様のために雑務をこなす。
イヌ族のメイドたちが本来やるべきことであろう、ネコ族では行わない雑務を一生懸命こなす。私の大好きなご主人様のために。
誰に何を言われても、私を傷つけようとして差し向けられたその言葉の刃は、砕け散るだけ。そんな言葉はご主人様の下さる温情と愛情に比べれば粗末なこと。あの方から受ける深い愛と信頼とが私の自信を確固たるものとしてくれる。
優しいご主人様…。だから、ご主人様なら、あるいは。あるいは。
「ご主人様、あの、そのぅ」
「まぁ、…どうしたの?貴女がそんな風に聞いてくるなんて」
「も、もし、バニラちゃんがメイドを雇いたいと言ったら、お許しくださいますか?ちゃんとバニラちゃんがお金を払いますし、面倒もバニラちゃんが見ます。ご主人様のお手は煩わせません」
頭に浮かぶのは年上の純粋な友達。イヌ族を友達だなんて言うと変だけど、彼女は、彼女も私を私のまま受け入れてくれる子。
彼女にはあと1年の時間しかない。それを過ぎれば彼女はただのノライヌ。彼女が、アンがノラになることは、耐えられない。
「…ええ、バニラがそうしたいのなら、私は何も」
「あ、ありがとうございます!!」
ああ、ああ、ご主人様!私のご主人様はやっぱり世界で一番お優しい!
急いでアンにも言いに行かなくちゃと逸る気持ちを抑えながら彼女の屋敷にはしたないけれど大股で歩いていく。
「ばにらちゃー」
屋敷に行けば彼女がにこにこと笑顔と、尻尾を嬉しそうに振ってこちらにかけてくるのが見えた。見えたけれどすぐにべしゃりと転んだ。
「ほんと貴女ってドジね!もう!」
「あ、えへへ、ばにらちゃ、ありがとですでしたー」
手を貸して起こせば彼女はやっぱり笑顔で私を見てくれる。
「ふんっ、感謝しなさいよ!貴女がどこにも行けなかったら、教えてあげてるバニラちゃんの沽券にかかわるの!」
「コケー?」
「バニラちゃんの評価にかかわるの!」
「あわ、わ、ごめんなさいでしたです」
「いいのよ、そのときは、バニラちゃんが貴女のご主人様になってあげることにしたから」
ちょっと恥ずかしいけれど、なるべく自然に言えたと思う。
「ほんとー!!」
きらきらと大きな目を輝かせて、彼女が私を見て笑う。零れそうなくらい大きくてきれいな瞳が私を見て、それのどこにも、裏がない。
「ほんとよ、バニラちゃんは、アンに嘘はつかないの。でもそれは最後の最後よ、貴女がちゃんとご主人様を見つけられるならバニラちゃんはそれでいいんですからね」
「うん、うん!」
「首がとれちゃうからそんなにぶんぶん頷かなくていいのよ!!やめにゃさいよ!!」
「ばにらちゃー!!!すきー!あんはばにらちゃ、だいすき!」
「あ、う、ば、バニラちゃんも、好きよ」
抱きしめて来た彼女からは、やっぱり、おひさまの匂いがした。わたしのおひさま。わたしのすてきなお友達。貴女に幸せなご主人様が見つかるように、私も頑張るわ。
× × × × × × ×
リプきたキャラかCPでかくやつでバニラちゃんを頂きました!わーい!ヽ( ´¬`)ノ