SSS倉庫

【ノニエル】君を捉えておきたい決心がついた

2019/10/03 03:50
ノニン×エデルガルド(男女)
 男は、いつも、手を軽く、本当に軽く握るだけだった。
 それは私が手を引けばすぐに解かれるほどの力で、引き止める力も、引き寄せるための力もない。ただ本当に軽く、握られるだけ。手に力を入れれば男はするりと手を離したし、触れる時は必ず伺って来た。
 優しく肌の触れ合う感触は、どこかにおいたままだった心を柔らかにしたし、男は、ただ嬉しそうに微笑む。
 強引さもない。どちらかというなら、臆病なのではとおもうほど、慎重すぎると思うほどに軽やかに触れて、離れる。ただそれだけだったのに、今日は違うのだな、と思った。
 きつく握られた手はじわりと熱を互いの肌の間でもっていて、男は緊張したような顔で私を見ていた。どうしたのだろうか、と、握られた手の熱を感じながら見つめる。

「レ、レスライン殿、あの、お話が、」
「ああ、なんだ」
「ッ」

 ぎゅう、とまた手が握られる。強く、決して離さないと言いたげに。いつもと違う様子に落ち着かないのを隠しながら男の言葉を待つ。なんだろうか、と思いながら、手に力を籠めると、ますます力を込められた。

「お、俺と、」

◆ ◆ ◆
( ◠‿◠ )へへ……

コメント

コメントを受け付けていません。