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【ミハダン】どうかいつまでも寄り添ったままで
2019/09/25 05:01CP雑多
「あー……ミハル」
「ん」
「ありがとう」
つ、と机の上に彼の義手の右手で置かれた眼鏡ケースを開けて、眼鏡を取り出す。
「年には勝てないってわかっててもやだなあ…」
悲しいかな年齢には何をもってしても勝てない。いや、若返りとか、魔術とかかけてもらえればいいんだろうけど、どのみち中身は老いていく。
「ミハルは……、元から眼鏡だねえ」
「生憎まだ老眼とは縁がない」
「いいなあ」
「もともと近視なんだがな」
別に今は仕事ではない。プライベートな時間を割いてミハルがここにいることを選んでいてくれている。遅すぎるかもしれない恋心に気が付いてしまったものの、友人の関係が長すぎてなんだかな、とお互いなあなあのまま、ずるずると数か月こうして過ごしている。ミハルが「ひとまず様子見だ」と言ってたから、様子見もある。
好きだ、に「今すぐ答えて欲しい!」と熱烈に思うわけでもない。じゃあ言わなければ良かったとは思うけどそれでは友人として接してくれていたミハルに申し訳が立たない。
結局は、距離感が少し近くなったかも、くらいで、ああ、あと、プライベートを過ごす時間が重なることが多くなったくらいで、特に焦りもなければ、ソゾのような熱心な情熱みたいなものは俺にはないみたいだった。ミハルもそこを突っ込んでくるわけでもないし、これは、これでいいかも、と思う。
「近視かー、じゃあ眼鏡外したら見えないね」
「そんなに酷いわけではないがまあ、視力は落ちて来てはいるな」
「ミハルの眼鏡外してるの、そう言えば俺あんまりみたことないや」
「見たいのか?」
「え、いいの?」
「減るわけでもないからな」
あっさり眼鏡をとったその姿をついつい見てしまう。老けたなあ。
「老けたねえ」
「お前もだ」
「そうだね」
ははは、と笑うとミハルはため息のような、飽きれたみたいな吐息を零す。
「でもミハルは昔からかっこいいよ、憧れてる」
「そう思うならお前らもう少し若い頃の俺に身長くれてもよかったろうに」
「今の俺じゃないんだ」
「今はどうでもいい、お前らもどうせ加齢で縮むからな…」
「あははは」
昔は身長の事をつつかれるとすぐに睨んできたのが嘘みたいだ。お互い、それだけ年も取ってきた。
「俺ね、ミハル」
「ん?」
「こうしているだけでもいいや、時々ミハルが、一緒に時間潰してくれるだけで充分」
「お前は欲がないんだかあるんだか」
「ものによる、ってやつかな」
本当にただ、ミハルがこうしてそばにいてくれるだけで、十分だ、と思ってしまえるのは、やっぱり年の所為で積極的な感情が衰えたのかも。それを思うとミケに熱心なソゾは随分こう、元気だなと思ってしまう。うん。元気だ。
「俺はもう少し自分の感情を見るついでに探ってみたいものだが」
「そうなの?……あー、じゃあ、どうしよう、ハグでもしてみようか」
「ハグか、まあいいだろう」
小柄なミハルはすっぽりと腕の中に納まってしまう。改めて小さいんだなあと、失礼だけど思ってしまう。
「小さいなと思ってるだろ」
「あーーーばれてるーーー」
「事実だからな、しかたない」
くっく、と少し笑ったミハルのこえにそわっとしてしまう。あまりミハルって、笑わないから、かな。
「俺はさあ、自分で言ったけどミハル、ミハルのことは好きだ、好きだけど。やっぱり、時間潰すの一緒にしてくれたら、」
ミハルの左の人差し指で唇を抑えられる。咄嗟に口を閉ざすと、片眉をあげたミハルが見上げていた。
「急ぐな、自己完結するな。俺にもお前をそういう意味で好きだと思うかどうか探る時間を寄越せ」
「あー…うん、わかった」
ごめんね、と言えば、ミハルはわかればいい、と笑った。
◆ ◆ ◆
タイトルは診断メーカー様から!
君に恋したあの日から。
https://shindanmaker.com/287899
「ん」
「ありがとう」
つ、と机の上に彼の義手の右手で置かれた眼鏡ケースを開けて、眼鏡を取り出す。
「年には勝てないってわかっててもやだなあ…」
悲しいかな年齢には何をもってしても勝てない。いや、若返りとか、魔術とかかけてもらえればいいんだろうけど、どのみち中身は老いていく。
「ミハルは……、元から眼鏡だねえ」
「生憎まだ老眼とは縁がない」
「いいなあ」
「もともと近視なんだがな」
別に今は仕事ではない。プライベートな時間を割いてミハルがここにいることを選んでいてくれている。遅すぎるかもしれない恋心に気が付いてしまったものの、友人の関係が長すぎてなんだかな、とお互いなあなあのまま、ずるずると数か月こうして過ごしている。ミハルが「ひとまず様子見だ」と言ってたから、様子見もある。
好きだ、に「今すぐ答えて欲しい!」と熱烈に思うわけでもない。じゃあ言わなければ良かったとは思うけどそれでは友人として接してくれていたミハルに申し訳が立たない。
結局は、距離感が少し近くなったかも、くらいで、ああ、あと、プライベートを過ごす時間が重なることが多くなったくらいで、特に焦りもなければ、ソゾのような熱心な情熱みたいなものは俺にはないみたいだった。ミハルもそこを突っ込んでくるわけでもないし、これは、これでいいかも、と思う。
「近視かー、じゃあ眼鏡外したら見えないね」
「そんなに酷いわけではないがまあ、視力は落ちて来てはいるな」
「ミハルの眼鏡外してるの、そう言えば俺あんまりみたことないや」
「見たいのか?」
「え、いいの?」
「減るわけでもないからな」
あっさり眼鏡をとったその姿をついつい見てしまう。老けたなあ。
「老けたねえ」
「お前もだ」
「そうだね」
ははは、と笑うとミハルはため息のような、飽きれたみたいな吐息を零す。
「でもミハルは昔からかっこいいよ、憧れてる」
「そう思うならお前らもう少し若い頃の俺に身長くれてもよかったろうに」
「今の俺じゃないんだ」
「今はどうでもいい、お前らもどうせ加齢で縮むからな…」
「あははは」
昔は身長の事をつつかれるとすぐに睨んできたのが嘘みたいだ。お互い、それだけ年も取ってきた。
「俺ね、ミハル」
「ん?」
「こうしているだけでもいいや、時々ミハルが、一緒に時間潰してくれるだけで充分」
「お前は欲がないんだかあるんだか」
「ものによる、ってやつかな」
本当にただ、ミハルがこうしてそばにいてくれるだけで、十分だ、と思ってしまえるのは、やっぱり年の所為で積極的な感情が衰えたのかも。それを思うとミケに熱心なソゾは随分こう、元気だなと思ってしまう。うん。元気だ。
「俺はもう少し自分の感情を見るついでに探ってみたいものだが」
「そうなの?……あー、じゃあ、どうしよう、ハグでもしてみようか」
「ハグか、まあいいだろう」
小柄なミハルはすっぽりと腕の中に納まってしまう。改めて小さいんだなあと、失礼だけど思ってしまう。
「小さいなと思ってるだろ」
「あーーーばれてるーーー」
「事実だからな、しかたない」
くっく、と少し笑ったミハルのこえにそわっとしてしまう。あまりミハルって、笑わないから、かな。
「俺はさあ、自分で言ったけどミハル、ミハルのことは好きだ、好きだけど。やっぱり、時間潰すの一緒にしてくれたら、」
ミハルの左の人差し指で唇を抑えられる。咄嗟に口を閉ざすと、片眉をあげたミハルが見上げていた。
「急ぐな、自己完結するな。俺にもお前をそういう意味で好きだと思うかどうか探る時間を寄越せ」
「あー…うん、わかった」
ごめんね、と言えば、ミハルはわかればいい、と笑った。
◆ ◆ ◆
タイトルは診断メーカー様から!
君に恋したあの日から。
https://shindanmaker.com/287899