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【ノニエル】手合わせと

2019/08/19 05:16
ノニン×エデルガルド(男女)
 飛び退いたあと先ほど自分が立っていた場所が抉れているのを認識し、ぞわ、と背筋が凍りそうになる感覚と同時に、容赦のない一撃に安堵もした。自分がもし何か錯乱したときであっても、彼女ならば必ず仕留めてくれるだろうという安心感だった。
 本来は両手で構えるべき剣は、勿論模擬刀ではあるが、当たればそれなりに痛い。それを片手で軽々と持ち上げ構える彼女の重心は低く構えられている。

 手加減はしていられないようだ、と思いながら簡単な術式を唱え、自分の足元に配置していく。

「こざかしい真似を考えているのか?」
「ははは、そうですね、痛い目をみますよ」

 は、は、と口では笑っているが目は笑っていないようだ。
 重い一歩が踏み込まれる。瞬発力があることは先の一撃でわかっていたのでそのまま、地を蹴る瞬間右へ避け、追ってくるだろうと予測して彼女の後ろへ回り込むようにもう一段飛んで避ける。
 先ほどの場所に仕込んでいた闇の魔法によって彼女の剣先を足止めする予定だったが露でも払うかのように薙ぎ払われ一度目に飛び退いた先に二撃目が振り落とされたのを見て再び冷や汗が伝う。

「ダメか」

 位置取りとしては彼女の右斜め後方に陣取れた。本気でやるなら「左後ろ」に飛び退くべきだったろう。

 ぎょろりとした眼孔がすかさずこちらを捉える。

 ず、と引きずられた剣先が地面を抉る。

 狙うなら、義足の右足。

 鉄製だと言っていたから、何度か衝撃をくわえ、バランスを崩すのがいいか。実践なら躊躇なく右足ごと根元から持って行ったかもしれない。

 低い位置から飛んできて、そのまま大ぶりな剣を薙いでくる姿は重装備した大型の獣のようにも見える。当たれば命は無かっただろうという重い一撃は、何度振ってもその攻撃性を衰えさせる気配がない。
 彼女の鍛錬のたまものなのだろうと感心しながら、間をぬって、肩の関節を剣首で叩くついでに、闇の魔法で感覚を遮断させてもらった。

 ──筈であった。

 戸惑いもなく握られ続ける剣と、振り、薙ぎ、切り付けてくる剣先は感覚の遮断がされているとはとても思えない。

「これはっ…」
「ハハハ………」
「はははっ、腕を切り落としても、落とした腕が動きそうな方だなっ…!」

 重く地を蹴り、再び突進してくる相手の眼光に、「ああ、素敵だ」などと思いながら負けるわけにはいかないとひらりと避け、再び作戦を練ることにした。

◆ ◆
こっちも練習でかいてみたやつでしたね。
クロスオーバー時空(Twitterでかいてるネタの時空)

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