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【リュリュ+シリウス】手合わせ
2019/08/19 05:14CP無しセルフクロスオーバー
金属のぶつかる高い音が絶え間なく鼓膜を震わせている。
人工的な太陽の光を受け煌めく剣の刃が容赦なく振り下ろされ、薙ぎ、突いてくるのを必死になって両手に構えた細身の剣で防御する。精一杯、シリウス自身にとっては現状が精一杯出来る行動だった。
「防御してばっかりじゃ死ぬぜお前ぇ!」
「攻撃ばかりというド単純な手札も死ぬと思いますが」
「勝ちゃあいいんだよ!!!」
リュリュと名乗った少し年上の男は、離れた場所で観戦しているラディエという老人と会話をしながら手を緩めることが無い。
向こうは会話をする余力さえあるというのに、実戦の経験がないシリウスは、真剣を防ぐことに集中する力しか今は無い。会話に参加する余裕は、ないのだ。
右、左、弾いたと思うとすかさず右下から脇腹を狙ってせり上がる剣を受け流し、その間に首を狙ってくる男の左に持たれた鎌の様に刃の湾曲した変わった剣を止める。弾かれてすぐに剣首で狙いに来た腕を護りきり安心する間もなくぐるりと持ち手を回転させることなく向きが変わった左の剣を受け流す。
上半身だけではなく、足元も踏み込まれては一歩退き、すかさず払うように動いた足に掬われないように飛び退く。
「息があがってんじゃねえのかあ?あがってんなあ?」
「お手柔らかにしてあげては?実戦経験はないと仰っていましたよ」
「してやらねぇーーーーーーーー!!!!!」
ギャハハハ、という高笑いと一緒に懐に突っ込んできた相手に攻撃する隙がない。喉を突き刺そうと下から滑空する鳥の様に舞い上がった二つの切っ先を上半身を逸らして避け、防御、と構えた瞬間に右手の剣を持っていた指を、剣首で叩かれ取りこぼす。
間髪入れずに上から斬首でもするかの如く叩き下ろされた刃を飛び退き距離を取る。
「あといっぽぉん」
ぐるん、と柄を回し余裕の笑みを浮かべるリュリュに対してシリウスは情けないが息が上がっている。男は取り落したシリウスの剣を掴んで遠くへ放り投げてしまう。
「可哀想に、合わせてあげたらどうです?」
「はーーーっ、爺さんよお、俺がお行儀の良いお遊戯に付き合ってやるほど善人に見えんのぉ?」
「全く見えませんねえ」
残っていた左に構えていた剣を右に持ち変え、ふう、と呼吸を整える。これは相手から与えてもらっている猶予であることはシリウスでもわかった。
「僕はシリウスさんの剣の動きは好きですよ、教えて頂いた方の品の良さが出ていらっしゃって。君は雑ですねえ」
「雑に育ったもんで、ねぇっっ!!」
ガギン、と鳴った音と共に残っていた一本も大きく薙ぎ払われ、虚しく地面に転がっていく。
「大丈夫だ、爺さんが怪我なおしてくれるからよお、ちょおーーーっと痛いだけだぜ」
右肩から、恐らく左の脇腹へ向けて、湾曲した例の剣で撫で斬るつもりなのだろう動きを、スローモーションのように視界で受け、頭で理解するより先に咄嗟に動いた右手が掴んだのは腰につけていた園芸用の鋏だった。
ストッパーを人差し指で外し、開かれたグリップを握って切り付けようとする刃を受け止める。驚いたのは相手もだったが自分もだった。
「へえーー?」
ぎり、ぎり、と目いっぱいの力で振り下ろそうとするリュリュの目が爛々と獣じみた光を宿している。
「お行儀がいいイイコちゃんにしては意外だなあ」
「…お行儀よくしなさい、と、言われておりますのでっ、光栄です」
「嫌味だっつうのばーーーーか!!!」
左の脇腹へ飛び込むようにやってきた剣も、同じようにもうひとつの鋏で受けきる。
「なかなか刃をその小ぶりな鋏で止めるという芸当は出来ませんよ」
「やりゃあできんじゃねえかよお……いいね、いいねえ、」
ひゅ、ひゅ、とあがった呼吸を整えながら、笑い返すだけが精いっぱいだった。
◆ ◆
戦闘みたいな描写ってどうするんだろ、っていつぞや練習でかいたものです。大分寝かせたからもういいかとおもってのせた。()
人工的な太陽の光を受け煌めく剣の刃が容赦なく振り下ろされ、薙ぎ、突いてくるのを必死になって両手に構えた細身の剣で防御する。精一杯、シリウス自身にとっては現状が精一杯出来る行動だった。
「防御してばっかりじゃ死ぬぜお前ぇ!」
「攻撃ばかりというド単純な手札も死ぬと思いますが」
「勝ちゃあいいんだよ!!!」
リュリュと名乗った少し年上の男は、離れた場所で観戦しているラディエという老人と会話をしながら手を緩めることが無い。
向こうは会話をする余力さえあるというのに、実戦の経験がないシリウスは、真剣を防ぐことに集中する力しか今は無い。会話に参加する余裕は、ないのだ。
右、左、弾いたと思うとすかさず右下から脇腹を狙ってせり上がる剣を受け流し、その間に首を狙ってくる男の左に持たれた鎌の様に刃の湾曲した変わった剣を止める。弾かれてすぐに剣首で狙いに来た腕を護りきり安心する間もなくぐるりと持ち手を回転させることなく向きが変わった左の剣を受け流す。
上半身だけではなく、足元も踏み込まれては一歩退き、すかさず払うように動いた足に掬われないように飛び退く。
「息があがってんじゃねえのかあ?あがってんなあ?」
「お手柔らかにしてあげては?実戦経験はないと仰っていましたよ」
「してやらねぇーーーーーーーー!!!!!」
ギャハハハ、という高笑いと一緒に懐に突っ込んできた相手に攻撃する隙がない。喉を突き刺そうと下から滑空する鳥の様に舞い上がった二つの切っ先を上半身を逸らして避け、防御、と構えた瞬間に右手の剣を持っていた指を、剣首で叩かれ取りこぼす。
間髪入れずに上から斬首でもするかの如く叩き下ろされた刃を飛び退き距離を取る。
「あといっぽぉん」
ぐるん、と柄を回し余裕の笑みを浮かべるリュリュに対してシリウスは情けないが息が上がっている。男は取り落したシリウスの剣を掴んで遠くへ放り投げてしまう。
「可哀想に、合わせてあげたらどうです?」
「はーーーっ、爺さんよお、俺がお行儀の良いお遊戯に付き合ってやるほど善人に見えんのぉ?」
「全く見えませんねえ」
残っていた左に構えていた剣を右に持ち変え、ふう、と呼吸を整える。これは相手から与えてもらっている猶予であることはシリウスでもわかった。
「僕はシリウスさんの剣の動きは好きですよ、教えて頂いた方の品の良さが出ていらっしゃって。君は雑ですねえ」
「雑に育ったもんで、ねぇっっ!!」
ガギン、と鳴った音と共に残っていた一本も大きく薙ぎ払われ、虚しく地面に転がっていく。
「大丈夫だ、爺さんが怪我なおしてくれるからよお、ちょおーーーっと痛いだけだぜ」
右肩から、恐らく左の脇腹へ向けて、湾曲した例の剣で撫で斬るつもりなのだろう動きを、スローモーションのように視界で受け、頭で理解するより先に咄嗟に動いた右手が掴んだのは腰につけていた園芸用の鋏だった。
ストッパーを人差し指で外し、開かれたグリップを握って切り付けようとする刃を受け止める。驚いたのは相手もだったが自分もだった。
「へえーー?」
ぎり、ぎり、と目いっぱいの力で振り下ろそうとするリュリュの目が爛々と獣じみた光を宿している。
「お行儀がいいイイコちゃんにしては意外だなあ」
「…お行儀よくしなさい、と、言われておりますのでっ、光栄です」
「嫌味だっつうのばーーーーか!!!」
左の脇腹へ飛び込むようにやってきた剣も、同じようにもうひとつの鋏で受けきる。
「なかなか刃をその小ぶりな鋏で止めるという芸当は出来ませんよ」
「やりゃあできんじゃねえかよお……いいね、いいねえ、」
ひゅ、ひゅ、とあがった呼吸を整えながら、笑い返すだけが精いっぱいだった。
◆ ◆
戦闘みたいな描写ってどうするんだろ、っていつぞや練習でかいたものです。大分寝かせたからもういいかとおもってのせた。()