俺のこと、好きですか、なんて、そんなことは聞けるわけがなかった。
　不安がないわけではない。でも、彼女に尋ねて、ああ好きだ、なんて言われても、素直に喜べないような気がしている。彼女がそんな人ではないとわかっていても、彼女は誠実な人だ、と、そう思っているのは俺の勝手な所で、実際どうなのかは、わからない。
　俺が都合よくそう思っているだけかもしれないし、もしかすれば、俺がいちいち、近づいて、話しかけることさえ、彼女は鬱陶しく思うのを隠していてくれるだけかもしれない。ああ言おうか、どう、伝えようか。考えると夜が明けてしまうような気がして、目を閉じて、思考を飛ばそうとする夜もいくつも過ぎた。
　どうすれば、彼女が望む付き合い方を実行できるかわからない。禁欲的で、純粋で、お互いを律して、彼女の為を思うなら彼女の願うままにしたい。
　でも、

「（俺、は、男で…）」

　彼女は、女性で。
　俺の、自覚のうちの独占欲と支配欲は酷いもので、上手くできる自信はない。

「（す、すき、なのに）」

　彼女を抱きしめたら全てが崩壊しそうで怖い。
　彼女の近くにいったら全て、決壊しそうで怖い。自分のことを知っているからこそ怖い。彼女に何かしてしまうんじゃないかと思うと。ただただ怖い。

　ああ、と何度目かしれないため息をついて、薄く目を開けると、窓の外は、いくらか淡く、青い。考えないように考えてしまうのが、ダメだ。

「（あ、さ）」

　ああ、今日も、また眠れなかった、とげんなりする。

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びくびくはまあしているんですが、こういう、好きな人の事で悩んで眠れないっていうのノニンさん的にはありえなかったことなのでよかったね、ハッピー＼＼\\٩( 'ω' )و //／／