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【ソゾミケ】はじめましてのことだった

2019/07/10 04:51
ソゾ×ミケ(男男)
 目についてしまうと放っておけないのだ。
 何やら良くない会話が聞こえってしまったから、間に割って入り、いちゃもんを着けられているらしい男と親しげにすると向こうは少しだけ忌々しそうにこっちを見て遠くへと歩いて行ってしまう。私闘は禁止だし、私的ないざこざも見つかると処罰対象になるから、そこらへんは向こうだってわかっているのは救いだ。おかげで怪我もないし。

「………ありがとう」
「ん?」

 自分より背が低い男が低い声でそう言う。黒い髪をゆったりと結わえていて、少し不健康そうというのか、瞳が小さく、ともすれば、タレ目ではあるものの、ぎろりと睨まれているようにも錯覚するような目つき。掴まれていたらしい襟首を静かな動きで直している。

「………ごめん、ね」
「ああ、いいよいいよ、俺おせっかいなんだ」
「……でも、貴方には、関係がないのに、」
「だから、良いって」
「……初対面、なのに」
「気にするなよ」

 でも、と視線を彷徨わせる男に笑いかけ続ける。本当におせっかいだし、なんだったらさっさと帰ると思っていたからこうして律儀に残って礼まで言われるとは思っていなかった。

「あの…やっぱり、お礼、を」
「ソゾ・サザナミ」
「はい…?」
「俺の名前、お前は?」
「……ミ、ケ、です」
「ミケ?それだけ?」
「……貴方みたいに、家を示すモノはないから、それだけ」
「ほおん、そーなんだ」

 ミケ、と名乗った男は静かに身嗜みを整え終える。

「ありがとう、サザナミさん、なんて言ったら」
「ソゾでいいぞー」
「……いきなりは、ちょっと」
「そっか???でも気さくにソゾでいいぞ!サザナミって言われるのなれてねえんだよなあー!それにホラ、名前2文字!同じ同じ!」
「………ふっ、……そうだね、同じだ」
「だろ???だろ????」

 笑っていると、ミケもいくらか口角を上げる。笑顔が出来ないわけではないようだ。

「何で絡まれてたんだ?」
「……見てわかる通り…目つき、最悪だから」
「ああーーー」
「納得した?」
「したした!」
「あと、俺、くらいから、何かしても黙ってると思ったんじゃない、かな」

 確かに黙しているタイプには見えるけどそれじゃあちょっとあんまりだ。黙ってるとつけあがる奴はいるものだし。

「ダメだぞ、ちゃんと反抗しないと!」
「ああ、まあ、……ご忠告、ありがとう、サザナミさん」
「またなんか絡まれたら呼べよな!」
「……また?」

 不思議そうにする男にうんうんと頷くと、また、不器用に笑おうとしてくれた。

◆ ◆ ◆
可愛いカップル描いちゃったー様から
『初めて名前を呼ぶ』『ソゾミケ』を描きor書きましょう。

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