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【リンカタ】良し悪しは人による

2019/06/02 04:55
リーンハルト×カタシロ(男男)
 喜んでくれたら嬉しい、という気持ちと、相手の好みじゃなかったらどうしよう困らせるだけだよなあという葛藤に少し揉みこまれながら宛がわれた部屋の机の上にちょこんと置いてる万年筆が入った、ラッピングされた箱を見つめている。
 これをこっそり購入してからどれくらい日数が経過していったかしれない。自分の腹がなかなか括れなかったという点もあるのだが、仕事で遠出も重なってあれよあれよと時間が過ぎて行った。
 どうせならインクもご一緒に贈った方が良いよなあと、古風な店で買ったインクとともにいつまでも机の上から離れる気配がなかったそれらを、ついに持っていこうか、と思い立ち、しかしやはり着席してしまう。
 大佐は何でも喜んでくれるんじゃないかと思う反面、若い自分のセンスが噛み合うかわからない。調べはしたものの、それでも個人の趣味までは徹底して調べられないし時間も足りない。
 腐るものではないが自分のもとに置いておくために購入したものじゃないんだからと、ようやっとくくった腹で、大佐の部屋の前までやってきて、それからノックを三度。

「リーンハルト・アロン上等兵です」

 名乗ってから扉がロックされていることに気が付き、周囲に誰もいないことを確認してから扉をスライドさせるパネルに触れて、教えてもらったパスコードを入力し、室内に入ると人の気配はない。
 タイミングが悪かったなあと反省しながら大佐がいつも使うだろう机、に置くのは目立ちすぎるので、奥にあるもうひとつの扉に向かい、同じようにコードでもって開くと、やはり私室にも大佐の気配はなかった。
 ここでいいか、と小さなテーブルの上に持ってきた箱を置いて、そっと退室しながらロックをかけ直すのに時間がかからないのは、こうして不在の時来ることが多いせいだろう。

「ううん、気に入って下されば、いいけれど」

 こればかりは、次にお会いした時に伺ってみる他ない、と不安とわくわくとした楽しみに満たされながら、自室へと戻った。


◇ ◇ ◇
可愛いカップル描いちゃったー様から
『プレゼントを贈る』『リーンハルトとカタシロ』を描きor書きましょう。


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短めだしカタシロさん不在だし(でもかく

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