SSS倉庫

【SSS】少しどころじゃなく刺激的

2019/05/06 03:36
CP無し
「小生でもその商品仕入れるのは苦労するんだぞぉ?わかってるのかぁ?」

 隻眼の女性は腕を組み、困りますお客様、という顔をしている。

「お願い!お願いしますー!この通りー!リブラちゃんスキスキ!」
「止せ止せ!馬鹿っ!」

 人好きのする笑顔とセットで、そう言いながら両手を使い投げキスを飛ばす兄貴の耳を引っ張って止めさせたが、案の定、ポロスト出身だという彼女は完全に顔を赤くして硬直している。

「ひっ……」

 微かに、そうひきつった音を出したあとささっと同郷だというリオンの後ろへ隠れて怯えたようにこちらを伺っている。

「せぇんちょぉー」
「えぇー?だってだって、リオンは平気じゃんー」

 呆れたようなリオンは、商人だというリブラという女性をその背に庇うようにして立っている。

「儂はそういうのは耐性ができとるが、彼女にそれは厳しいぞ」
「まぁじで?ええーーーリブラちゃんごめん、ごめんねっ俺の事嫌いにならないで?」
「逆効果だ船長!ばかこのっ」
「むがごご」

 リオンがそのデカイ片手を使って兄貴の口を封じ込めにかかる。リブラは、といえばぷるぷると僅かに震えながら大きく深呼吸をしているようだった。

「あーその」
「なっ、なんだ!?」

 リオンに引きずられていく兄貴を眺めながら彼女にそう言葉をかけるが完全に警戒されている。

「ごめんな、兄貴のあれ、おはよーみたいなそういう気さくな挨拶だから…刺激強すぎたよな…」
「あ、あ、挨拶…しょ、小生にはちときついな」
「だよなあ、ごめん、言って聞かせるから」

 はあ、とため息をついて、今一度かなり遠くまで引きずられていく兄貴を見た。

× × × × × × ×
リブラさんはお国柄てきに初心なんです

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