「嘘ォ?まぁじでいってる？」
「マジマジ」

　ふわふわと漂っている資料を集めながら話す話し相手は最近仲良くなった年の近い兵だ。ジュウザ・キザキさん。キョクトの出身で、少しカンと似てる所のある熱血漢な子。

「ああ、でもカンはジンザさんみたいな人と気が合うんじゃない？」
「あいつ誰とでも仲良くなれるだろ」
「勿論、自慢の友達ですよ？」

　ジンザさんというのは、彼の双子の兄弟のことで、顔は似ているけど双子、というと俺達なんかはよくある事だし、種族によっては４人とか６人とかザラだし、特に驚くことではなかった。ジンザさんは落ち着いている人で物静かな所が目立つのだが、そんな彼がカンと仲良くなっているという話題だった。
　まあ、カンのやつは明るいし、気さくだし、ちょっと頭は緩いけど正義感が眩しい奴で俺はカンのそういう一面はとても好きだ。あいつがいると空気が明るくなるし。

「自慢と来たか」
「そりゃあそうでしょー？カンほど俺の心を奪っていった男前はいないって。胸張っていい奴って言えるよ」
「奪われたのかよ」
「奪われた奪われた。もーあんな男前な同年代そうそういないね」
「良い奴なんだな…」
「ジュウザさんとはちょーーっと気が合い過ぎて喧嘩しそうだね」
「確かにな」

　大きく口をあけて笑う彼は、もくもくと先ほど大きく船体が揺れたせいでファイルから飛び出した資料を集めている。

「まあ、カンは素直で良い奴だから、きっとジュウザさんも好きになると俺はおもうよ」
「あははは！！！カンのやつも同じ事言ってたぞ」
「えぇ？カンがあ？？」
「オルトロスは怪しいとこあるけど優しいし頭の回転いいからきっと好きになるぞーってさ、自慢の友達って同じ事言ってた」
「あらあーうれしい」
「同じこといってるなら間違いなく仲良しだな」
「ライラプス伍長殿のことも言ってたでしょ」
「言ってた言ってた、ほんと三人仲良いな」
「それにこんどジンザさんとジュウザさんも入ってくるからね」
「あとフェリニシュって奴だろ」
「そおそお」

　少し前まで敵同士だったのに、今はこうして笑っていられるのは不思議な気持ちでもあるけど、素直に友人の性格を捉えてくれるのは嬉しいものだと目を細めた。

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オルトロスさんとジュウザ君