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【ニヒファゼ】一緒が良い、を知った
2019/03/08 00:18ニヒツ×ファゼット(男男)
長身で、ローブを目深に、白と黒、そんな男が二人そろって街中をあるっていれば嫌でも目に付いてしまうものだ。例え此処が多様な人種が居たとしても。少しの視線くらいは感じる。
「ここ」
もくもくと歩いて着いた店はシリウスがよく紅茶を買い付けに来る所だ。他の店より茶葉の販売している種類が豊富で缶売りもしている。パックもあれば一杯からの小売りでも売っている。その場で袋に詰めてくれる。
その店を案内していたのだ。他でもないニヒツに。
どんな紅茶が好きか、というより、紅茶を俺が買ってくるものしか知らないニヒツはそればかり買う。色々見せてやった方が良いんだろうかと思い立って連れて来たのだが、ニヒツはよそ見することもなくただまっすぐにここまで来た。他の店に興味を示すこともない。示さないのか、そうしないように配慮しているのかはわからない。
「いらっしゃいませ」
物静かな店員がそう声をかけながら邪魔にならないようにだろう、少しだけ椅子を正面からずらして座っている。
「これがいつもの」
よく買うものを指し示すとニヒツが小さく頷く。
「ここだったら色々買えるから…来た時にでもよればいいんじゃねえの」
店員に聞こえないように小声で話すとそっとニヒツが耳を寄せるような動きをする。
「……全部、同じな見た目に見えます」
「……葉っぱだしな?」
そりゃあそう見えるわ。と思いながら香りとかなんかあるんだと、と言えばすん、と鼻を鳴らす音が聞こえる。
「かんがえ、ます」
「おぉ、考えとけ」
コーヒー豆もまあ見た目同じに見えるしなと思う。茶葉の方がまだいろいろ色味とか(コーヒー豆もあるんだろうが頓着したことが無い)あれこれ入ってるときがあるし、と思いながら店内を眺める。
ぼうっとしていると不意にニヒツが動く。おもむろに小さな缶を二つとって静かすぎる動きでレジに向かったせいで店員がちょっとびっくりしている。会計をしている背中を見ながら自分で考えて買ったのか成長したもんだと感心する。
「買いました」
「見てたから知ってる」
紙袋に入れてもらったらしい。小さなそれはニヒツの長く大きな手にあるからますます小さく目に映る。
店を出て、今度はまた違う所に歩き出す。
「あの」
「あ?」
「…これ…い、っしょに、飲んで、くれますか」
「は…?」
「だめ…?ですか?」
少しだけしゅんとした空気を出したニヒツに動揺しながら、別に構わないと告げるとひとつ頷く。
「ありがとうございます」
「良いってば…どうせ行くんだし」
「嬉しいです」
「わかった、ってば」
後ろをついてきながら、気持ち、明るい声音に顔が熱くなる。紅茶を一緒に飲んでやると約束しただけで家族以外にこんなに嬉しそうな声を出されたのは初めてだ。
「次、お前んとこ、家具ないだろ…家具、買って行けよな、小さいのでもいいから」
「かぐ」
「椅子とか、机とかカップとか」
「あります」
「イオが行ったときに足りねえだろ」
「…足りないです」
確かに、というような声。
「そういうのも、ちょっと今みたいに考えて、買うんだよ」
「…………ファゼットさんの好き、なので、いい、です」
「俺ぇ?」
いやいや、お前の家具なんだから選べよ、と言おうとして振り向くと、じっと見つめてくる明るい緑の瞳とかちあう。
「貴方の、好きな、のがあると、嬉しい」
「は………」
「一緒に、いれない、ので、…貴方が選んだものがあれば、…一緒、です」
「ぇ、ぁ、そ、…そん、そんなの、おまえ、じゃ、あ、」
予想してない言葉にどんどん顔が熱くなって、言葉も出てこない。そんな文句何処で覚えてくるんだよ、と思ったけど素だ。絶対素だ。間違いなく。
「じゃ、じゃあ、あれ、だろ、お、俺の部屋に、置くのは、お前、選べよ」
「…どうして…?」
人の時は心底不思議そうな声だしやがって。
「お前の部屋に置く家具を俺が選ぶから、俺の部屋に置く家具はお前が選ぶの!そ、そしたら、お、俺だって、お前と離れてても、一緒、だろ…そういう、こと、だろ…」
「………はい」
恥ずかしさに押しつぶされかけながら辛うじて説明しきるとぱちぱちと瞳を瞬かせ、柔らかく目が細められる。こいつ、こんな顔できるようになったのかと思ったのだが、優しく笑顔を作り、向けられてついと目をそらしてしまう。
幼さの滲んだ、とても嬉しそうな声が、ますます顔を熱くしていく。
◇ ◇ ◇
可愛いカップル描いちゃった―様から
『一緒にお買い物をしている』『ニヒファゼ』を描きor書きましょう。
「ここ」
もくもくと歩いて着いた店はシリウスがよく紅茶を買い付けに来る所だ。他の店より茶葉の販売している種類が豊富で缶売りもしている。パックもあれば一杯からの小売りでも売っている。その場で袋に詰めてくれる。
その店を案内していたのだ。他でもないニヒツに。
どんな紅茶が好きか、というより、紅茶を俺が買ってくるものしか知らないニヒツはそればかり買う。色々見せてやった方が良いんだろうかと思い立って連れて来たのだが、ニヒツはよそ見することもなくただまっすぐにここまで来た。他の店に興味を示すこともない。示さないのか、そうしないように配慮しているのかはわからない。
「いらっしゃいませ」
物静かな店員がそう声をかけながら邪魔にならないようにだろう、少しだけ椅子を正面からずらして座っている。
「これがいつもの」
よく買うものを指し示すとニヒツが小さく頷く。
「ここだったら色々買えるから…来た時にでもよればいいんじゃねえの」
店員に聞こえないように小声で話すとそっとニヒツが耳を寄せるような動きをする。
「……全部、同じな見た目に見えます」
「……葉っぱだしな?」
そりゃあそう見えるわ。と思いながら香りとかなんかあるんだと、と言えばすん、と鼻を鳴らす音が聞こえる。
「かんがえ、ます」
「おぉ、考えとけ」
コーヒー豆もまあ見た目同じに見えるしなと思う。茶葉の方がまだいろいろ色味とか(コーヒー豆もあるんだろうが頓着したことが無い)あれこれ入ってるときがあるし、と思いながら店内を眺める。
ぼうっとしていると不意にニヒツが動く。おもむろに小さな缶を二つとって静かすぎる動きでレジに向かったせいで店員がちょっとびっくりしている。会計をしている背中を見ながら自分で考えて買ったのか成長したもんだと感心する。
「買いました」
「見てたから知ってる」
紙袋に入れてもらったらしい。小さなそれはニヒツの長く大きな手にあるからますます小さく目に映る。
店を出て、今度はまた違う所に歩き出す。
「あの」
「あ?」
「…これ…い、っしょに、飲んで、くれますか」
「は…?」
「だめ…?ですか?」
少しだけしゅんとした空気を出したニヒツに動揺しながら、別に構わないと告げるとひとつ頷く。
「ありがとうございます」
「良いってば…どうせ行くんだし」
「嬉しいです」
「わかった、ってば」
後ろをついてきながら、気持ち、明るい声音に顔が熱くなる。紅茶を一緒に飲んでやると約束しただけで家族以外にこんなに嬉しそうな声を出されたのは初めてだ。
「次、お前んとこ、家具ないだろ…家具、買って行けよな、小さいのでもいいから」
「かぐ」
「椅子とか、机とかカップとか」
「あります」
「イオが行ったときに足りねえだろ」
「…足りないです」
確かに、というような声。
「そういうのも、ちょっと今みたいに考えて、買うんだよ」
「…………ファゼットさんの好き、なので、いい、です」
「俺ぇ?」
いやいや、お前の家具なんだから選べよ、と言おうとして振り向くと、じっと見つめてくる明るい緑の瞳とかちあう。
「貴方の、好きな、のがあると、嬉しい」
「は………」
「一緒に、いれない、ので、…貴方が選んだものがあれば、…一緒、です」
「ぇ、ぁ、そ、…そん、そんなの、おまえ、じゃ、あ、」
予想してない言葉にどんどん顔が熱くなって、言葉も出てこない。そんな文句何処で覚えてくるんだよ、と思ったけど素だ。絶対素だ。間違いなく。
「じゃ、じゃあ、あれ、だろ、お、俺の部屋に、置くのは、お前、選べよ」
「…どうして…?」
人の時は心底不思議そうな声だしやがって。
「お前の部屋に置く家具を俺が選ぶから、俺の部屋に置く家具はお前が選ぶの!そ、そしたら、お、俺だって、お前と離れてても、一緒、だろ…そういう、こと、だろ…」
「………はい」
恥ずかしさに押しつぶされかけながら辛うじて説明しきるとぱちぱちと瞳を瞬かせ、柔らかく目が細められる。こいつ、こんな顔できるようになったのかと思ったのだが、優しく笑顔を作り、向けられてついと目をそらしてしまう。
幼さの滲んだ、とても嬉しそうな声が、ますます顔を熱くしていく。
◇ ◇ ◇
可愛いカップル描いちゃった―様から
『一緒にお買い物をしている』『ニヒファゼ』を描きor書きましょう。