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【ヤルヨル】だって、君が大切だからだ

2021/12/31 06:04
ヤルヴァ×ヨルク(男男)SSS100個書けるかな期間
「ヨルク、もしもなんだけど」

 少しだけ、戸惑うような色の音に彼らしくない、と感じて顔を上げる。微笑んで、優しい青がこちらを見ている事に動揺したのは勝手に想像していた表情と違うためだろう。

「……一緒に国に帰ってくれない?っていったら、ヨルクはどうする?」

 ぱち、と何度か瞬きをして、言われた意味を順番に並べて思考する。どうする、と言われても、すぐには答えられない問いかけだ、と思った。様々な己の立場を考えて、周囲の状況を見て、それから一考させてもらわないといけない問いかけだ。

「なんとなく聞いただけ、気軽に答えてくれれば、」

 ああ、この人は、どうして本当にご自分を大切になさらないんだろうと眉間にしわが寄る。こちらのことをとても大切にするのに、自分の事はどうでもいいように捨てておく。そんなことは、ないのに。

「気軽に答えられません」
「あ、あーーーうーーん、そうだよね、悪かった、ごめん、ヨルク」
「貴方との大切な事、です、きちんと考えて応えます……」

 だから時間をください、と付け足せば、彼は困惑したような表情を浮かべた。何か困らせたのか、と思いながらも譲れない大切な事でもあったので、押し通さなくてはいけない。ヤルヴァ殿には悪いが。

「……私は、ヤルヴァ殿が、沢山くださるおかげで、……。我儘な部分が出ましたので」
「……ヨルクの我儘は可愛いね」
「そうおっしゃって下さるのは貴方くらいです」

 くす、と笑うヤルヴァ殿の表情から、憂うような色が失せていく。

「君を好きでよかった、もう、どんどん好きになりっぱなしだよ」
「はあ、左様です、か」

 満面の、花が咲くような笑みを浮かべられ、気恥ずかしさと共に偽りのない言葉に嬉しさがまた降り積もっていく。

× × × × × × ×
どっちもどっちに気を遣ってるもののだんだんこの人、私に対して気を遣い過ぎなのでは、ってヨルクさんがなっていく

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