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【ギゴホラ】君を沢山甘やかしたい、

2021/12/31 06:01
ギゴウ×ホライゾン(男男)SSS100個書けるかな期間
 少しまだ仕事が終わらないので待っていてくれるか、と伝えればホライゾンは、うん、と頷いて静かにソファーへ腰かけたままだった。時々顔を上げるとすぐにこちらに気づいて、それから「大丈夫、気にしないで」と何も問うていないのにそう答える。
 彼の癖なんだろう、と思った。彼と恋仲になってますます見える角度が増えたことで、気付かなくてもよかったのに気づいてしまう部分は増えるばかりだ。
 聞いてもいないのに先に応えてしまう所だとか、常にこちらを優先して動くところだとか、視線も気づかれないようにしているのだろうか、無意識なのか、探っている様子があった。本当にそう感じていたとしても多くは望まずに何でも言いよという所も。どうしても見てしまう。
 そうやって生きて来たのか、と、つい、考える。周囲の様子に気を配りながら警戒が怠れず、そうして身に染みてしまったものはなかなか取れるものじゃないだろう。
 ぱたりと閉じた端末を見て、彼が顔をほとんど同時にあげる。

「終わったの?」
「いや、まだだ」
「煮詰まった……???気になるなら、吾輩帰ろうか」
「俺がお前を呼んだのにか?」

 立ち上がって、くすくすと笑いながら隣に座ると慌てたような、困った様な顔をする。

「でも、」

 顎を捉えて口を封じる。たったそれだけの事には、先ほどまで細やかに警戒していたくせに、これをするときは動かない。恋仲になってしばらくは警戒していたようだが。

「な、な、なに???」
「愛らしい恋人を待たせて仕事をするのは少し俺の気持ちに反するのでな」
「そ、そういうの、女の子に言うんだよお!!それかもっと愛嬌がある子に、」

 じっと見つめて笑っていれば、口が何度か開閉した後静かに閉じて、真っ赤になっただけの男が出来上がる。自分がどう思われているか、を、ようやっと自覚してくれる域に来たらしい。

「でも、でも、お仕事が、」
「まあ、後でもいい」
「終わらせた方が……」
「ホライゾンとの時間の方が大切だな」

 少し高い位置の男の顔を捉えてもう一度口を封じる。低い体温が唇から伝わることと、お互いの髭が擦れる感触に笑う。

「ぐ、う、うう………、顔が良いっ……」
「お前に顔が良く見えているなら良かったよ」

 ぎゅうと背中に回された手の弱弱しくも、遠慮がなくなってきた抱擁にまたひとつ、笑みが深まる。目に付くものが多くなったが、同時に、それが緩やかに溶けていく実感も持てることは幸せな事だ、と男の目じりに口づけながら思う。

× × × × × × ×
ホライゾンさんがこうやって気を遣って生きて来たんだなあが目についちゃうギゴウ君と無意識なので気づいてないホライゾンさん。
むちゃくちゃに甘やかされる(ゴングの音

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