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【ノニエル】君に何が示せるのか、
2021/11/16 05:45ノニン×エデルガルド(男女)セルフクロスオーバーSSS100個書けるかな期間
男は、ノニン・シュトロムフトは私を特にも大切なもののように扱う、と思う。それはそうだろう恋人なんだからと、人によっては言うのかもしれないが慣れないままでいた扱いにどうしていいかずっと考えている。
態度が冷たすぎるのじゃないかとか、もう少し何か話をすべきなのか、だとか、時間をもう少し割くべきだろうかなんて考えをするようになってしまっている事に気づいて、誰も揶揄うわけじゃあないのに一人で勝手に恥ずかしくなる。私にはそんな思想は釣り合わない、と思う反面、男の笑顔が浮かんで、そんなことはないと擦りこみのように、何度も向けられた言葉と表情の記憶の所為で、男がまさに目の前で言ったわけでもないのに、肯定されている気がしてしまってますます顔が熱くなる。
男は自分の生い立ちはあまり話さない。かいつまんだ事と、少し、不安定になったときに尋ねた質問で知っている事。男は私の隠して来た部分さえ不可抗力で知ったとはいえ、肯定して受け止めているが、では私は男に何が出来るだろう、と考える。
作業の手が空いた時間も、寝る前の少しの微睡の間さえ、ふっと過って、ぐうと恥ずかしさに呻いてしまう。私から何かしたって喜ぶわけがないと思うのに、でも、彼は、いつも嬉しそうにしていた、とも思う。ささやかな言葉ひとつさえ、ぎこちなさ過ぎるだろう私の応答にさえ。どこがいいんだろう、だなんて思ってしまう。疑うわけではないのだが、何故、どうして、はなかなか薄くならない。いつか薄くなるのだろうか、なんて考えてしまって、また顔が熱くなる。
自分から何かしたことはなかった。いつも男の方から、だった、と思いながら、思い立つ。緊張してベッドから起き上がる。色気のある寝巻じゃないが、少しだけ身なりが気になってしまう。馬鹿だ、と自分を罵りながら薄暗い廊下に出てますます緊張する。顔を見に来たというだけ、たったそれだけと言い聞かせて男の部屋に向かって、緊張する。男に何かを示すために、憎からず私だって想っているのだという示しの為に、顔を見に来ただけだと男にいうことしか思い浮かばない。
相手の反応が怖い、と思いながら、ドアの前に立ってノックをするのに困る。迷惑だと思われやしないか、なんて今更思ってしまうがここまで来たならやってしまえとさえ思う。
小さくノックをして、寝ていたなら帰ればいいと思いながら煩い心臓を鎮める方法がわからない。
「……はい」
男の声にぎくりと肩が跳ねる。まだドアは開いていない。
「私だ、」
ぱっと迷いなく開いたドアに驚く。同じように驚いた男と眼があって、慌てて視線を逸らす。
「か、顔を、見に来た、だけだ、それだけ、だ」
他に何も言葉が出てこない。気の利いたような、他の同性なら言うのかもしれない甘いような、女の子らしいような、可愛らしい類の言葉さえ何も浮かんでこない。
「そ、ですか、」
そろそろと伸びて来た男の掌が頬に触れる。びくりと震えて見上げた男の顔は、酷く赤いと思った。
× × × × × × ×
一生懸命考えて、一歩ずつ示していこうと思ったエデルガルドさん
態度が冷たすぎるのじゃないかとか、もう少し何か話をすべきなのか、だとか、時間をもう少し割くべきだろうかなんて考えをするようになってしまっている事に気づいて、誰も揶揄うわけじゃあないのに一人で勝手に恥ずかしくなる。私にはそんな思想は釣り合わない、と思う反面、男の笑顔が浮かんで、そんなことはないと擦りこみのように、何度も向けられた言葉と表情の記憶の所為で、男がまさに目の前で言ったわけでもないのに、肯定されている気がしてしまってますます顔が熱くなる。
男は自分の生い立ちはあまり話さない。かいつまんだ事と、少し、不安定になったときに尋ねた質問で知っている事。男は私の隠して来た部分さえ不可抗力で知ったとはいえ、肯定して受け止めているが、では私は男に何が出来るだろう、と考える。
作業の手が空いた時間も、寝る前の少しの微睡の間さえ、ふっと過って、ぐうと恥ずかしさに呻いてしまう。私から何かしたって喜ぶわけがないと思うのに、でも、彼は、いつも嬉しそうにしていた、とも思う。ささやかな言葉ひとつさえ、ぎこちなさ過ぎるだろう私の応答にさえ。どこがいいんだろう、だなんて思ってしまう。疑うわけではないのだが、何故、どうして、はなかなか薄くならない。いつか薄くなるのだろうか、なんて考えてしまって、また顔が熱くなる。
自分から何かしたことはなかった。いつも男の方から、だった、と思いながら、思い立つ。緊張してベッドから起き上がる。色気のある寝巻じゃないが、少しだけ身なりが気になってしまう。馬鹿だ、と自分を罵りながら薄暗い廊下に出てますます緊張する。顔を見に来たというだけ、たったそれだけと言い聞かせて男の部屋に向かって、緊張する。男に何かを示すために、憎からず私だって想っているのだという示しの為に、顔を見に来ただけだと男にいうことしか思い浮かばない。
相手の反応が怖い、と思いながら、ドアの前に立ってノックをするのに困る。迷惑だと思われやしないか、なんて今更思ってしまうがここまで来たならやってしまえとさえ思う。
小さくノックをして、寝ていたなら帰ればいいと思いながら煩い心臓を鎮める方法がわからない。
「……はい」
男の声にぎくりと肩が跳ねる。まだドアは開いていない。
「私だ、」
ぱっと迷いなく開いたドアに驚く。同じように驚いた男と眼があって、慌てて視線を逸らす。
「か、顔を、見に来た、だけだ、それだけ、だ」
他に何も言葉が出てこない。気の利いたような、他の同性なら言うのかもしれない甘いような、女の子らしいような、可愛らしい類の言葉さえ何も浮かんでこない。
「そ、ですか、」
そろそろと伸びて来た男の掌が頬に触れる。びくりと震えて見上げた男の顔は、酷く赤いと思った。
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一生懸命考えて、一歩ずつ示していこうと思ったエデルガルドさん