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【ニヒファゼ】それがいい

2021/07/29 08:24
ニヒツ×ファゼット(男男)SSS100個書けるかな期間
「ファゼットさん、」

 病気になります、という声に「そこは風邪をひくっていうんだ」と眠りから半分戻ったままの声で切り返す。

「……かぜをひきます」

 だから起きてください、と言い直す男の声を聴きながらのろのろと瞼を開ける。見慣れるまではまだかかるだろう天井はニヒツの部屋だ。なんだか体がだるくて寝かせろと強引にベッドを奪ってどれくらい時間がたったんだろうか。
 風邪をひくから起きろという割にはきちんと毛布類はかけてくれている。ただ、言うなら、多分此処の温度調節の機器類は全て壊れていてニヒツが都度直しているもののどうにもならない状態、ではある。眠りにつく前より少し寒さが増しているのを考えると冷暖房がまたイカれたらしい。

「さむ」
「冷え込まないうちに戻ってください」
「そうする」

 のそのそと起き上がって、一応いつも着てくるローブを羽織る。こっちは俺が適当に椅子にぶん投げてたやつを拾って机に置いててくれたらしい。

「お前もうちょっと毛布とか単独で稼働する暖房機器かったほうがいいぞ、寒いだろ」

 ニヒツの住む家には必要最低限のものしかない。だから温度管理の小型機器類、なんてもんは見当たらない。俺やイオが来るようになってからは多少家具が増えたくらいだが、それでもまだ「生活感」というには遠すぎる「整い過ぎた部屋」だ。

「ファゼットさんが寒いなら検討します」
「俺じゃなくてお前が寒いかどうかって話なんだけど……そういうの平気か」
「はい、訓練した、ので」

 そういうことじゃあないんだが、本人が必要としてないなら無理に導入させることはないだろう。

「俺もお前が風邪ひいたりしたら嫌だから、せめて暖かい服とか持っとけよ」
「あったかい、」
「あーーー……」

 ぱちぱち、と瞬きを繰り返すのを見て、そういう所もなかなかピンとこないのかもしれない、と頭をかく。俺自身もそうだったし。

「今度一緒に買い物でも、したほうがいいな」
「はあ」

 そうしよう、それが、一番いい、と考えながら、また来ると言い残して、素直に帰宅することにした。
× × × × × × ×
ふたりでいっぱい経験すればいい、ってこと・・・・・

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