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【ヤルヨル】穏やかな色の時間
2021/07/29 08:23ヤルヴァ×ヨルク(男男)SSS100個書けるかな期間
静まり返っている室内……とは言い難い。雨と風が強く吹いていて、木々を揺らしたり何かが飛んで歩いている音がしている。
「今日はさすがに泊りがけ?」
嬉しそうな気がするヤルヴァ殿に、そうなるでしょうね、と声に出さず頷いて答える。ただの雨であれば帰宅したが強風もとなれば危険な中を徒歩で帰宅するのは宜しくはない。
「じゃあ、」
「専用の宿泊部屋があります」
「なぁんだ」
そうなんだ、と俯くヤルヴァ殿に何といえば良いのかと考えて俯いてしまう。いくら私が彼のお気に入りと認識されていても、この部屋に宿泊することはできない。だからこそ、というべきか。提案が嬉しくないというわけじゃない。
「でも、それなら、遅くまで一緒に居れるってことだよね」
座って、と優しい声が室内に溶けて、それに従う。隣に腰かけると、彼は嬉しそうに笑ってそれから肩に頭を預けて来た。
「嬉しいなあ、ヨルクと一緒にいれる」
「……、そう、ですか」
仕方がない状況とはいっても、私も嬉しいですという言葉が浮かぶ。同時にこれは、所謂、状況に甘んじた職権乱用、という言葉も浮かんで、それはまずいな、と思う。
「あまり遅くまではいません」
「いつもより少し長くいてもらったらあとは解放する、約束するよ」
そう言われながら手を握られ、離して欲しくは、ない、と思考してしまって、上げかけた顔を再び俯かせる。
「ヨルク、」
「はい」
「あはは、呼んでみただけ」
幸せそうに笑うその顔を見て、気持ちがゆるりと穏やかな色を帯びていくのを自覚した。
× × × × × × ×
ゆっくりこんな時間を増やしていこうね……ね……
「今日はさすがに泊りがけ?」
嬉しそうな気がするヤルヴァ殿に、そうなるでしょうね、と声に出さず頷いて答える。ただの雨であれば帰宅したが強風もとなれば危険な中を徒歩で帰宅するのは宜しくはない。
「じゃあ、」
「専用の宿泊部屋があります」
「なぁんだ」
そうなんだ、と俯くヤルヴァ殿に何といえば良いのかと考えて俯いてしまう。いくら私が彼のお気に入りと認識されていても、この部屋に宿泊することはできない。だからこそ、というべきか。提案が嬉しくないというわけじゃない。
「でも、それなら、遅くまで一緒に居れるってことだよね」
座って、と優しい声が室内に溶けて、それに従う。隣に腰かけると、彼は嬉しそうに笑ってそれから肩に頭を預けて来た。
「嬉しいなあ、ヨルクと一緒にいれる」
「……、そう、ですか」
仕方がない状況とはいっても、私も嬉しいですという言葉が浮かぶ。同時にこれは、所謂、状況に甘んじた職権乱用、という言葉も浮かんで、それはまずいな、と思う。
「あまり遅くまではいません」
「いつもより少し長くいてもらったらあとは解放する、約束するよ」
そう言われながら手を握られ、離して欲しくは、ない、と思考してしまって、上げかけた顔を再び俯かせる。
「ヨルク、」
「はい」
「あはは、呼んでみただけ」
幸せそうに笑うその顔を見て、気持ちがゆるりと穏やかな色を帯びていくのを自覚した。
× × × × × × ×
ゆっくりこんな時間を増やしていこうね……ね……