SSS倉庫

とんでもない出会い方

2021/04/17 05:34
CP無しSSS100個書けるかな期間
 エデルガルドに用事だった。あいつに来させるのは寒くなってきた季節じゃ酷すぎるから、あんまり好きじゃないが、街まで出て、それから捕まえよう、と思っていた。所がエデルガルドの部下に聞けば、今は街中じゃなくてお屋敷の方だというから、屋敷まで行って、中には入らず周囲でうろうろして待つ事にした。
 バキン、という音と、見上げた処に、きっと屋敷の中に備えてある訓練場だろう。そんなところがあるとエデルガルドが言ってたのを思い出す。そこで誰か手合わせしていたんだろう。折れた木造の剣先がおちて来たので咄嗟に掴む。無理につかんだから、じぃんと痛んだが些細な痛みだ。人に当たらなくてよかったと思う。

「おーい!!投げるぞーー!!!」

 そう塀の向こうに声をかけると隣国の言葉が聞こえる。何を言ってるかわからん、と思った時だ。

「ハーイ、ドウゾー!」

 言葉がわかるやつがいるらしい、と安心してもう一度、避けろよと声をかけて投げてやる。良い方法じゃないが、向こうも軍人なら構わんだろうと思う。
 落ちた音がしなかったのは向こうでも誰かが掴んだんだろう。

「気をつけろよ――!!」
「アリガトー!」

 明るい男の声だ、と思う。それと一緒に低い音がするに、もう一人くらい居るんだろう、と思って去ろうとすると、何か叫ぶ音と一緒に鈍い音がしてまた顔を上げる。

「おいおい、降りろ降りろ」

 塀に登りこちらを見下ろす男がいた。よく見えないが、片目は潰れているんだろう。短い髪は銀だろうか、灰だろうか。青い縦長のピアスが目立つなと思った。塀を登ってわざわざ顔でも拝みに来たんだろうか。だとしたら気持ちのいい馬鹿だなと思って笑う。

「いくら手練れだっても危ない、黙って降りなよアンタ。顔見て満足したろ」

 そう話しかけると、何かを言われたがさっぱりわからない。

「すまんな、わからん」

 態度でわからない、と示してみせたら納得したらしい。一つ頷いて戻っていく。

「自分が言えた話じゃないが妙な奴だなあ」

 がはは、と笑いながらエデルガルドが出てくるころだろうか、と門に戻ることにした。
× × × × × × ×
バルトさんとゼルマさんをどうするかまだ考え中です(暴露

コメント

コメントを受け付けていません。