SSS倉庫

火種は早めに消すのが良い

2021/04/17 05:31
CP無しSSS100個書けるかな期間
「あの女性の名前は何というんだ」

 追加で、ということで後からやってきた旧友のバルトと話していた時だ。窓の外を見ていたバルトが指さす先にいる人を見て、ああ、彼の好みの人ではあるよなと納得しながら彼を見た。

「エデルガルド・レスラインさんだよ」
「そうか」
「気になるかい?」
「気になるな」

 ふん、と腕を組んだバルトはじっとレスラインさんを見下ろす。視線に気づいたらしい彼女が見上げてこちらを見るなり、顔を顰めて俺を睨んだので、笑って手を振る。

「相変わらず貴様は親しくなるのが上手い」
「あーどちらかというと彼女には嫌われている」
「何」

 驚いたようなバルトを見て笑う。

「彼女、どうも俺は嫌いなタイプらしい」
「そうか、確かに俺も女として貴様とあったら、初手で好かん奴だと思う気はする」
「ははは!!!どうもありがとう」
「組めば好きになるだろうがな」
「そう、ありがとう。バルトのそういう所好きだよ」

 そう言ってウィンクすればバルトは大きくため息をつく。

「好かれておこう。ありがとう」
「うん、それはどうも」

 バルトも堅物そうには見えるかもしれないが、柔軟性がある男だ。視野も広いし、考え方も変わり者と呼ばれるくらいには色々と思いつくから第二陣としてこっちへ寄越されたんだろう。

「ヤルヴァ、貴様、少し緩くなったか」
「何?頭が?」
「いや、心がだ」
「そう見えるのかい?」
「気のせいかもしれん」
「ははは、案外そうかもしれないよ、可愛い子に囲まれてるからね」
「そうか、囲まれているように見えんが、冗談がうまいな」

 あまり深くは聞いてこないバルトは話しやすいし、興味がないように見えてこうしてきちんと観察してくれていることはありがたい。

「レスラインとは話はするのか」
「あまりしないよ、俺についてくれてる通訳の男が彼女と仲が良いらしいが」
「そうか、ふむ、紹介しろ」
「どっちを?どっちにしても嫌だよ、したくない」
「む……」
「彼女とあっても相手にして貰えないと思うよ、ははは」
「むう、そうか」

 彼女はどうかしらないが、厄介事を増やすかもしれないから避けてあげよう、と思うのはおせっかいだろうかなんて考えながら、腕組みをして考えこむバルトを見ていた。
× × × × × × ×
ノニンちゃんを心配してくれるヤルヴァ殿、いかんせんバルトさんはドストレートで勘違いを巻き起こしやすい故。そのうちほんぺにもでる。

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