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【キザキ兄弟】いつものゲーセンコースと
2019/03/04 03:57CP無し
がやがやと賑やかな人混みを眺めながら、休憩スペースとして設けられているパステルカラーの柔らかい材質の椅子に腰かけ、かれこれ…時間はみていないがジンザが今のでコインを計5回投入している。難しい顔をしながら向き合っているのはキャッチャーゲームで、ゲーム機の中には大きくて可愛らしい顔のマスコットキャラがあっちを向いたりこっちを向いたりしている。海洋生物がモチーフのそのぬいぐるみを男が真剣に取ろうとしているのだ。
5回目にしてやっとそのぬいぐるみがぽとんと穴に落ちて、すすす、と静かにしゃがんだジンザがそれを取り出し、
「とれた」
とんでもなく幸せそうな顔で破顔している。
「何のぬいぐるみなんだそれ」
「ペンギンという生き物のぬいぐるみだ、可愛いと思う」
「良かったな」
「うん」
表情をいつもの真面目な顔に戻しながら、ペンギンとかいうぬいぐるみをぎゅっと両腕で抱きしめるジンザは心底幸せそうだ。でもいい加減ぬいぐるみを飾る場所を考えないと部屋がヤバイことになっている。俺の部屋にもぬいぐるみがいる。クマとイルカが。どっちもジンザがとったものだ。
「たまには違うゲームとかしてみたらどうだ?」
「違うゲームか…」
通りすがっていく異性の、同じくらいの年だろうという子たちがちらちらとこちらを見ている。俺とジンザは双子だから、顔立ちも一緒だし目立つんだろう。さらに言えば大事そうにぬいぐるみを景品を入れることが出来る簡易的な袋に入れ、付属の紐で斜めがけにして背負っているので猶更だろう。
「いつもジンザ、そればっかだろ…ほら、あっちのゲームとかしてみないか?」
「…ジュウザも一緒にしてくれるか?」
「えっ?!俺も?」
「……一人でしたことが無いゲームをするのって気が引ける」
「まあ、」
わからなくもない、と思う。いいよ、と頷いて適当に人が占拠していないゲーム筐体の前に立つ。
「ああ、どうするんだろう」
「やりゃあわかるだろ」
コインを入れながら考えるジンザを見ながら画面の指示通りのキーボタンを押して進めていく。足元の十字に配置された矢印をみながら、はじめてのかたの欄を選んでジンザと2人でふうんと頷く。
「優しいモードだったら出来るだろ流石に」
「これを踏めばいいのか、」
「そうみたいだな」
聞いたことがある曲も収録されているらしく、それを選ぶ。
「あ、ごめん、勝手に」
「いや、いい、ジュウザが好きな曲だろこれ、聞いたことが無いのよりはいいや」
「おお、ごめん、ありがと」
筐体の機械的な「ready?」の声の後に曲目が始まり、先ほど二人で見た練習の画面を思い出し、それを倣って踏んでいく。
「あ、けっこう、」
「う……」
楽しいかも、と思ってジンザをみると少しわたつきながらも踏めている。ああ、結構こういうの苦手なのか、と気がつく。
「俺は楽しいけど、ジンザは?」
「ジュウザとやるなら楽しいかな」
ジンザが動くたびにぽんぽんと背中に背負っている袋が跳ねているのを見ながら1曲を終えた。
「あと2曲できるってさ」
「いっぱいできるな」
「次、ジンザが好きな曲で良いぞ」
「あ、いいのか?申し訳ない」
「いいっていいって」
「じゃあ最後の曲になったら二人とも知ってる曲が良いかな」
「おー、そうだな」
しかし、けっこう動くから暑いなと、羽織っていたジャケットを脱いだ。
5回目にしてやっとそのぬいぐるみがぽとんと穴に落ちて、すすす、と静かにしゃがんだジンザがそれを取り出し、
「とれた」
とんでもなく幸せそうな顔で破顔している。
「何のぬいぐるみなんだそれ」
「ペンギンという生き物のぬいぐるみだ、可愛いと思う」
「良かったな」
「うん」
表情をいつもの真面目な顔に戻しながら、ペンギンとかいうぬいぐるみをぎゅっと両腕で抱きしめるジンザは心底幸せそうだ。でもいい加減ぬいぐるみを飾る場所を考えないと部屋がヤバイことになっている。俺の部屋にもぬいぐるみがいる。クマとイルカが。どっちもジンザがとったものだ。
「たまには違うゲームとかしてみたらどうだ?」
「違うゲームか…」
通りすがっていく異性の、同じくらいの年だろうという子たちがちらちらとこちらを見ている。俺とジンザは双子だから、顔立ちも一緒だし目立つんだろう。さらに言えば大事そうにぬいぐるみを景品を入れることが出来る簡易的な袋に入れ、付属の紐で斜めがけにして背負っているので猶更だろう。
「いつもジンザ、そればっかだろ…ほら、あっちのゲームとかしてみないか?」
「…ジュウザも一緒にしてくれるか?」
「えっ?!俺も?」
「……一人でしたことが無いゲームをするのって気が引ける」
「まあ、」
わからなくもない、と思う。いいよ、と頷いて適当に人が占拠していないゲーム筐体の前に立つ。
「ああ、どうするんだろう」
「やりゃあわかるだろ」
コインを入れながら考えるジンザを見ながら画面の指示通りのキーボタンを押して進めていく。足元の十字に配置された矢印をみながら、はじめてのかたの欄を選んでジンザと2人でふうんと頷く。
「優しいモードだったら出来るだろ流石に」
「これを踏めばいいのか、」
「そうみたいだな」
聞いたことがある曲も収録されているらしく、それを選ぶ。
「あ、ごめん、勝手に」
「いや、いい、ジュウザが好きな曲だろこれ、聞いたことが無いのよりはいいや」
「おお、ごめん、ありがと」
筐体の機械的な「ready?」の声の後に曲目が始まり、先ほど二人で見た練習の画面を思い出し、それを倣って踏んでいく。
「あ、けっこう、」
「う……」
楽しいかも、と思ってジンザをみると少しわたつきながらも踏めている。ああ、結構こういうの苦手なのか、と気がつく。
「俺は楽しいけど、ジンザは?」
「ジュウザとやるなら楽しいかな」
ジンザが動くたびにぽんぽんと背中に背負っている袋が跳ねているのを見ながら1曲を終えた。
「あと2曲できるってさ」
「いっぱいできるな」
「次、ジンザが好きな曲で良いぞ」
「あ、いいのか?申し訳ない」
「いいっていいって」
「じゃあ最後の曲になったら二人とも知ってる曲が良いかな」
「おー、そうだな」
しかし、けっこう動くから暑いなと、羽織っていたジャケットを脱いだ。