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【ノニエル】どうしたらいいのかわからない
2021/04/17 05:18ノニン×エデルガルド(男女)SSS100個書けるかな期間
冬はあまり好きじゃない。傷も痛めば、寒さも好ましくない。だが仕事はしなくてはならないし今更そんな弱音を吐く程じゃあない。ずっと変わらず、ひとりでこの冬を繰り返すのだと思っていた。
街中は寒さを理由に身を寄せ合う男女を良く見かける。まあ、雪も降ったから、と思うと同時に、以前はどうでもいいものとして見ていただけだったが、今年はなんとなく視界にいれることが気恥ずかしく思う。どうして、と思うよりもあの男の顔がよぎる。恐らくそのせいなのだと消そうとするのに消えない。
そんなことを考えていたせいなのか、あの男に似た後姿を見つけてしまい、咄嗟に僅かばかり俯いてその後ろを通り過ぎる。気付かれてはいないはずだが、あの男でないとしたら、ノニン・シュトロムフトでないとしたら、ただの自意識過剰、というか、意識のし過ぎでばかばかしい。
後ろから、雪を踏む静かな音と一緒に急いでいるかのような呼吸がする。絶対違うと思いたい己と、あいつなんじゃないか、と思う自分が揺れる。
「レスライン殿、」
驚くな、と言い聞かせ、足を止めて振り向く。
「散策中、でしたでしょうか」
確かに、散歩ではあったが、応える義理はない、と思いながらも嬉しそうな男の表情に言葉が出てこない。
少し隣を歩いても?と、問いかける男に、相変わらず、勝手にしろという言葉しか返せない。男との関係をどうするか、隣を歩く男から向けられる好意と自分の感情を照らし合わせどう対応すればいいのかまるで答えはでない。
家までついてくる気だろうか、と思いながらもついてくるなと拒絶の言葉も選べない。どうして、とぐるぐる考えながら歩く。俯いているのは足元に注意を払ってるからだ、と己に言い聞かせる。そうでもしなければ「らしく」ない。
らしくあるなら、周りが陰でいうように、男を利用する形を示せばいい、と思う。思うがそれではあまりにも不誠実だ。
だが、「エデルガルド・レスライン」として、なら利用するのだと示すのが一番、問題はないわけで、と、考えて、足を雪に取られる。建物の影になる道ではあったから、凍っていると考えて慎重に歩くべきだったのに。ずるりと揺れる体を支えられた、と気づいたときには男が驚いた顔でこちらを見ていて、言葉に詰まる。片腕だけでこの身体を容易く、抱えて支えられたことがショックだ。
「み、っともない、所を見せたな、」
男の服に掴まり、体制を立て直そうと動くが、同時に男がびくりと体を揺らす。
「な、なん、だ?」
赤い顔をした男は俯いて、そのまま、腰を支えている手に力が込められていく。逃げてしまいたいのを耐えて、男の様子を伺う。意を決したとでもいうように見つめて来た顔は真剣で、緊張が走る。
「……もう少し、こうしていたい、と、言ったら、困らせますか」
口が震えるのを自覚して、体が震えたのも自覚した。こうしていたい、と言われて、やっと、誰かが見たら、そういう仲と思ってもおかしくはない距離感だと気づく。
「わ、私と、お前は、そう、いうんじゃ、な、ない、こま、る」
なんとか声に出せた言葉は相変わらず可愛げもない、と思ってしまう。もう一度、詰まらず、困るんだ、と零せば男の手が腰から離れていく。ほっとしながら俯きがちだった顔を上げようとして、ふっと気配を感じる。
「……好きです、貴女のことが心から、」
優しく肩に手を添えられ、囁かれた言葉に耳が熱くなる自覚があった。
× × × × × × ×
隙あらばきちんとアピールが出来る男。エデルガルドさん片足しかないし、氷でつるっといったら踏ん張るの難しそうだなって思います。
街中は寒さを理由に身を寄せ合う男女を良く見かける。まあ、雪も降ったから、と思うと同時に、以前はどうでもいいものとして見ていただけだったが、今年はなんとなく視界にいれることが気恥ずかしく思う。どうして、と思うよりもあの男の顔がよぎる。恐らくそのせいなのだと消そうとするのに消えない。
そんなことを考えていたせいなのか、あの男に似た後姿を見つけてしまい、咄嗟に僅かばかり俯いてその後ろを通り過ぎる。気付かれてはいないはずだが、あの男でないとしたら、ノニン・シュトロムフトでないとしたら、ただの自意識過剰、というか、意識のし過ぎでばかばかしい。
後ろから、雪を踏む静かな音と一緒に急いでいるかのような呼吸がする。絶対違うと思いたい己と、あいつなんじゃないか、と思う自分が揺れる。
「レスライン殿、」
驚くな、と言い聞かせ、足を止めて振り向く。
「散策中、でしたでしょうか」
確かに、散歩ではあったが、応える義理はない、と思いながらも嬉しそうな男の表情に言葉が出てこない。
少し隣を歩いても?と、問いかける男に、相変わらず、勝手にしろという言葉しか返せない。男との関係をどうするか、隣を歩く男から向けられる好意と自分の感情を照らし合わせどう対応すればいいのかまるで答えはでない。
家までついてくる気だろうか、と思いながらもついてくるなと拒絶の言葉も選べない。どうして、とぐるぐる考えながら歩く。俯いているのは足元に注意を払ってるからだ、と己に言い聞かせる。そうでもしなければ「らしく」ない。
らしくあるなら、周りが陰でいうように、男を利用する形を示せばいい、と思う。思うがそれではあまりにも不誠実だ。
だが、「エデルガルド・レスライン」として、なら利用するのだと示すのが一番、問題はないわけで、と、考えて、足を雪に取られる。建物の影になる道ではあったから、凍っていると考えて慎重に歩くべきだったのに。ずるりと揺れる体を支えられた、と気づいたときには男が驚いた顔でこちらを見ていて、言葉に詰まる。片腕だけでこの身体を容易く、抱えて支えられたことがショックだ。
「み、っともない、所を見せたな、」
男の服に掴まり、体制を立て直そうと動くが、同時に男がびくりと体を揺らす。
「な、なん、だ?」
赤い顔をした男は俯いて、そのまま、腰を支えている手に力が込められていく。逃げてしまいたいのを耐えて、男の様子を伺う。意を決したとでもいうように見つめて来た顔は真剣で、緊張が走る。
「……もう少し、こうしていたい、と、言ったら、困らせますか」
口が震えるのを自覚して、体が震えたのも自覚した。こうしていたい、と言われて、やっと、誰かが見たら、そういう仲と思ってもおかしくはない距離感だと気づく。
「わ、私と、お前は、そう、いうんじゃ、な、ない、こま、る」
なんとか声に出せた言葉は相変わらず可愛げもない、と思ってしまう。もう一度、詰まらず、困るんだ、と零せば男の手が腰から離れていく。ほっとしながら俯きがちだった顔を上げようとして、ふっと気配を感じる。
「……好きです、貴女のことが心から、」
優しく肩に手を添えられ、囁かれた言葉に耳が熱くなる自覚があった。
× × × × × × ×
隙あらばきちんとアピールが出来る男。エデルガルドさん片足しかないし、氷でつるっといったら踏ん張るの難しそうだなって思います。