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【シリミア】微笑み

2020/12/31 23:36
シリウス×ミアプラ(男女)SSS100個書けるかな期間
 たまたま街中で姿を見かけたので声をかけた。そのまま午後は休みだから、ということで一緒に散策でもどうかと言われて、断る理由もないので一緒に散策を楽しんでいる。いつも一人で歩く道も誰かと一緒だとまた違う空気に感じることはあったが、ミアプラさんとだと、猶更そんな気持ちになるのが不思議だ。
 彼女の少し後ろを歩きながら、街の景色も、すれ違う人たちも、いつも通りだが、やはり気持ちは少し暖かいように思う。思うだけで、確証はない。
 ミアプラさんの背中はすっと伸びている。つけている武具は背中も僅かに覆ってはいるが完全に防御しているとは言えない。腰から下も部分的に頑丈に見えるものはついているが皮膚は多く露出している。
 腕と足には金属製だろうか。これもまた防御するための装備のように見える。ヴァリ出身の方はこういった格好だ、と聞いてはいたが、男女ともに露出が多い物なのだろうかと気になる。気になるが、あまり見るのは失礼だろうと意識からそらし、視線を彼女の何処へ向けるか考えて、首筋へ視線が向かう。
 華奢、とは思うが体格や骨格の差もあるし、ミアプラさんはしっかりした首元だな、と思う。あまり首を見つめすぎるのもまずいのか、と慌てて地面へ視線を投げた。

「どうかしたのか、シリウス殿」

 表情は変わらない。自分を棚に上げておくわけではないが、表情変化はお互い乏しいのかも、と思う。

「いいえ、つい、ミアプラさんを見てしまっていて。失礼だろうかと丁度下を向いたところでした」
「そうか。見ても気にはしないが、貴殿が気になるならまあ、貴殿の納得がいくよう良いようにしてくれ」
「はい」

 気にはしないのか、と覚えておくことにした。それはそれでやはりあまり人をじろじろ見るものではないな、と反省する。

「注意するよう心がけます」

 そう告げるくらいしか今は出来ないが、嘘ではない。

「わかった」

 ふ、とミアプラさんが少しばかり表情を柔らかにする。漠然と、当たり前なのだが、女の人だな、という感覚が浮かぶ。今まで、イオさんが来るまで身近にいたのは同性ばかりだったし、女性と言ってもお伺いする家の奥様方に挨拶する程度だった。まじまじと、表情を近くで見て、その変化をこうして受けることはなかなかない経験だ。
 輪郭も、表情の乗せ方も、彼女のお人柄もあると思いはするが、ああ、女の人というより、柔らかい、という表現がしっくりくるな、と改めて思いながら彼女に微笑み返した。
× × × × × × ×

ゆっくりゆっくり進んでる、と思う

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