SSS倉庫

彼と彼女の時間

2020/12/31 23:34
CP雑多SSS100個書けるかな期間
 困ったなといえば困ったことだし、困っていないと言えば困っていないこと、ではある。困っているが嫌ではない、が、どうにかすべき状況ではあるのだと理解していて、動けないでいる。

「セシル君、セシル君」

 とんとん、と腕を回して、彼の肩を叩く。座って話している間に疲れが出たのか眠たくなったので寝てしまったのかわからないが、すとんと睡眠中になってしまった恋人はこちらの方へ頭を預けてすっかり瞼を下ろしている。

「セーシル君」

 起こすのも忍びない、と思いながら肩が重い、と感じる。そろそろ休憩を終えて仕事に戻りたいが、こうも気持ちよく眠られてしまうとなんとも考えてしまう。
 結局小声で呼びかけたり、体を揺らす真似をしてみるものの、多少の揺れでは起きないようだった。
 どうしたものかと考えながら眠っている顔を眺め、睫の落とす影や、顔の傷を眺めて、ほっこりとした気持ちになってしまう。仕事は幸い急ぎではないからもう少しずらして休憩してもいいが、それではセシル君が気にかけてしまうんじゃないかと思う。
 私が身勝手に決めたことで謝らせるのもなんだかな、と思う。うーん、と深くため息をついたところで、彼の頭がモゾ、と動いてそれから、微かに驚いた声を出す。

「おはよう、セシル君」
「わ、あ、あーーーおはようございます、寝てた、よねえ俺」
「寝てたね、疲れているんじゃないですか?」
「そーかもー」
「今日は可能なら早めに横になってくださいね、セシル君。君は頑張り屋さんだから」
「はあい」

 くふ、と笑う彼が目を閉じ、こちらの肩へ再び頭を預けてくる。今度は彼の頭をよしよしと撫でる。そうすると彼は満足したように、めいっぱい笑うのが可愛いなと思う。

「ありがとう、また今度ね」
「はい、また今度」

 彼の髪の毛を整えて、仕事へ戻っていく彼を見送る。彼との細やかな時間がとても愛しい。
× × × × × × ×

まだ名前決まってないのは内緒だ

コメント

コメントを受け付けていません。