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【ニヒツとゼノメンシス】不思議な心地

2020/12/31 23:20
CP無しセルフクロスオーバーSSS100個書けるかな期間
「失礼、貴殿は何をしているところだろうか」

 顔をわずかに上げかけて、白い服と、大きく真っ白、銀色にもみえる翼と、それから少し凝った装飾に、オルニトアラの、王、と言う人だな、と思った。確かナマエは、ゼノメンシス・クラルスさん、と言った筈。
 何をしているのか、と聞かれ、手元で作っていたナイフを見る。見ればわかる、と思うが、言葉にすべきか考えてしまう。

「武器の制作か?」

 直接見るのは失礼なのだろうか、と考えて小さく頷くと、そうか、と上から声がする。

「我も手伝って差支えないか?」
「……え、ダメ、です」
「ダメか」

 咄嗟にそう答えてしまったものの、気を悪くしたような声音ではない。フードを被りっぱなしなのに、それも指摘してこない。柔らかい音を出す。

「王、様、に、危ないことは、」
「なるほどな、なら王ではない俺になら手伝わせてくれるか?」

 言うなり上着を脱ぎだす。随分、思い切りが良いのだな、と思って気配だけ伺う。インナーの袖を僅かに捲り、横にしゃがみ込まれる。

「どうかな」
「……、どう、」

 どう答えたらいいのだろうか、と思った。ここには自分しかいない。ファゼットさんも、あの人、レイフさん、もいない。色々な事を考えて回答しなくてはいけない、と思う。判断をしかねる。

「私、と、いても、迷惑が」
「迷惑かどうかは俺が勝手に決めてしまう。気にしなくていい」
「そう、なん、ですか?」
「ああ、そうだ。訊ねているのはゼノメンシスという男に手伝わせてくれるかどうか、だ」

 そういう、ことなら、王様ではない、というなら良いのだろうか、とナイフを手渡して初めて目があう。綺麗な、イオさんの目よりも明るい目の色だ、と思った。

「貴殿の瞳は芽吹いた葉の色だな」

 穏やかに微笑む顔には、一切の、嫌悪もにじまない。まだこちらのことを知らないからにしてもどこか、不思議な心地になった。
× × × × × × ×

本来は出逢わないかなってふたり・・・・

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